オトナの教養 週末の一冊

2019年1月11日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 先日、風邪で初めて訪れた病院で診察をしてくれたのは、中国系の名前の、日本育ちではない日本語の発音をする医師だった。それだけではなく、東京の街を歩き耳を澄ませば、観光客と思しき人から日本に住んでいそうなさまざまな中国人を目にする。実際に、日本3大中華街と言われる横浜、神戸、長崎以外にも、西川口や北池袋などには中国人が多く集まるようになったとニュース番組などで目にする。なかなかうかがい知ることのできない中国人コミュニティの実態はどうなっているのか。『日本の「中国人」社会』(日経プレミアシリーズ)を上梓したフリージャーナリストの中島恵氏に、中国人コミュニティの特色や在日中国人の教育事情などについて話を聞いた。

(7maru/iStock/Getty Images Plus)

――今回は日本の中国人コミュニティに注目されています。これには理由があるのでしょうか?

中島:爆買いに始まり、近年中国人観光客の増加は周知の通りです。一方、観光客以外、たとえば取引先の企業に、日本生まれではない中国人が働いているというように、日本在住の中国人が増えていることに薄々気がついている方も多いのではないでしょうか。調べてみると、在日中国人は約73万人と高知県の人口とほぼ同じです。また、2000年から3倍近くも増えているのです。

――高知県の人口とほぼ同数とは相当な数ですね。インド人が多く住む西葛西など他の外国人が多いコミュニティと比較し、今回取材した埼玉県の西川口や横浜市南区の中国人コミュニティの特色はありますか?

中島:他の外国人コミュニティと比較すると、人口が多いためさまざまな職業に就いていたり、西川口や横浜市以外にもいろいろな場所に住んでいます。また、外見上も日本人と似ていて、漢字という共通の文字があるため、日本語の習得が早く、他の外国人に比べると日本社会に比較的早く溶け込んでいる。日本企業で働いていたり、日本人と結婚している中国人も数多くいます。

 また、中国人はさまざまな勉強会を開いたり、中国のSNS(ウィーチャット)をさかんに使ったりと、中国人同士の活動が非常にアクティブなのが特徴的です。

――横浜市南区に中国人が多いというのは意外でした。

中島:横浜中華街からわずか数キロ離れたこの土地は、ごく普通の住宅街ですが、最近中国人の若い世代が流入しています。今回取材した横浜市立南吉田小学校の場合、全児童の約4割を中国人が占めます。同校では、授業についていけない外国人児童のために、別途国語の特別授業を行っています。

――子どもも親も日本語が理解できない場合はどうしているのでしょうか?

中島:南吉田小学校の場合は、通訳ボランティアがいますし、学校からの手紙にも絶対に読んでほしい箇所は、中国語に翻訳してあります。

 ただ、同校のように外国人に対し手厚いサービスができる学校ばかりとは限りません。そうなると日本語のできる子どもが日本語のできない自分の親に伝える、もしくは逆のパターンもあります。友だちが助けてくれる場合もありますが、親子ともに日本語ができないと厳しい状況かもしれません。もっと行政が支援に乗り出すべきだと思います。

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