赤坂英一の野球丸

2019年1月16日

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 今年もプロ野球12球団で新人たちの合同自主トレが始まった。私も7日は広島(大野練習場=広島県廿日市市)、9日は日本ハム(ファイターズスタジアム=千葉県鎌ケ谷市)、さらに10日はロッテ(ロッテ浦和球場=埼玉県浦和市)と、甲子園を沸かせた高卒ルーキーが汗を流す現場へ足を運んでいる。

(takasuu/Gettyimages)

 とくに感心させられたのは、ドラフト1位の新人たちがある程度、しっかり身体を作り、コンディションを整えてきたことだ。広島・小園海斗(報徳学園)は昨夏より3㎏増えた84㎏で、「これがぼくのベスト。スピードを生かすためにもこの状態でいきたい」と胸を張った。日本ハム・吉田輝星(金足農業)も、「いまは81~82㎏。国体のあとで太りましたが、自主トレで動けるように絞ってきました」とキッパリ。

 ロッテ・藤原恭大(大阪桐蔭)に至っては、球団の自主トレに参加する前、母校のグラウンドでフリー打撃を行い、120m級の柵越え弾をかっ飛ばした上、保護者が駐車していた車にぶつけてしまう、というオチまでつけてファンやマスコミを沸かせた。本人は「プロでやっていける身体作りはこれからです」と謙遜するが、評論家の中には「打撃センスは高卒新人野手ナンバーワン」という声もある。甲子園を沸かせてロッテ入りしながら、今一つ伸び悩んでいる安田尚憲(2年目=履正社)、平沢大河(4年目=仙台育英)らも危機感を抱き、大いに発奮してほしいところだ。

 最大の注目の的、中日・根尾昂(大阪桐蔭)はまだ取材していないのかと言われそうだが、残念ながら本稿の〆切までに自主トレが行われているナゴヤ球場(愛知県名古屋市)まで足を伸ばす時間を取れなかった。初日が7日で、広島と重なっていたから、カープについての著書もある私としては、広島・小園の取材を優先せざるを得なかったのだ。

 しかし、高校1年生のころから根尾を取材し、2年生から3年生まで甲子園でのプレーを見た経験から言わせてもらえば、これほど自己管理が徹底している高校生は見たことがない。練習やトレーニングに取り組む姿勢はもちろん、ふだんの生活態度や読書量まで、過去にスーパールーキーと呼ばれた選手たちを大きく凌駕している。昨年暮れにはNHKのテレビ番組に出演し、縦に深く割れた腹筋を披露。年明けの自主トレでは3.8㎞の持久走でダントツのトップを走り、調整に抜かりのないことをうかがわせた。

 ドラフト1位以外にも、これは面白い、と思わせる好素材が少なくない。私が見た中で一例を挙げると、日本ハムのドラフト4位・万波中正(横浜)である。コンゴ出身の父親と日本人の母親の間に生まれ、190㎝、87㎏の体格を誇る巨漢。それほど大きい割に大変しなやかな肉体をしており、キャッチボールの球の速さには、思わず目を見張らされた。

 こう言ったら失礼かもしれないが、万波のすぐ近くでキャッチボールをしているドラ1・吉田の球がいささか遅く見えたほど。万波は高校時代、本業の外野手に加えて、投手としても活躍していたのだからそれも道理か。日本ハム関係者によれば、「高校2年生で140㎞台後半のスピードを出していた」そうだ。

 大谷翔平(花巻東、日本ハム、大リーグ・エンゼルス)の後を継ぐ二刀流になれればとまでは言わないが、甲子園のスーパースターだった先輩、清宮幸太郎(2年目=早実)の後を追いかける存在になれば、日本ハム打線の得点力も大幅に底上げされるだろう。万波はそれぐらいのポテンシャルを秘めている、と期待込めて書いておく。

 ここまで読んで、いかに高卒の〝少年〟とはいえ、プロ入りする選手が自主トレまでにしっかり身体を作ってくるのは当たり前ではないか、と思われる読者もいるかもしれない。実際、身体作りや体調管理がプロとして最低限の義務であることも確かだ。が、高校生の場合、これがきちんとできるようでなかなかできない選手が非常に多い、というのも偽らざる現実なのである。

 甲子園に出て大活躍し、ドラフトにかかるような球児は当然、高校時代の3年間、野球漬けの日々を送っている。一昔前は野球さえできれば学業の成績がどんなに悪くても許される、という風潮が一般世間にもあったが、今時はそれなりの成績を収めてきちんと卒業しないと、まともに進学も就職もできない。

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