2024年4月30日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年2月15日

 昨年12月のブエノスアイレスにおける米中首脳会談で、トランプ大統領と習近平国家主席は、両国間の貿易紛争につき、90日間の期限を設けて交渉することで合意し、現在は「休戦状態」にある。米側は、期限内に妥結できなければ2000億ドル相当の中国製品に対する関税率を10%から25%に引き上げるとしている。その期限が3月1日に切れるのを前に、1月末に中国の劉鶴副首相率いる交渉団が訪米し、閣僚級交渉、トランプ大統領との会談を行い、米中首脳の再会談の可能性が出てきている。ホワイトハウスが劉鶴氏の訪米に関して出した声明は、要旨、次の通り。

(Anson_iStock/spaxiax/LaInspiratriz/iStock)

 交渉は、以下を含む広範な問題を取り扱った。(1)米企業に対する中国企業への技術移転の圧力、(2)中国における知的財産権の保護と執行の強化の必要性、(3)米国が中国において直面する多くの関税および非関税障壁、(4)中国の米企業に対するサイバー窃取がもたらす悪影響、(5)補助金と国営企業を含む、市場を歪める力が如何に過剰生産をもたらしているか、(6)米国の製造業産品、サービス、農産物の中国への販売を制約している市場障壁および関税を除去する必要性、(7)米中通商関係において通貨が果たす役割。両者は、莫大な額の増大を続ける米国の対中赤字を削減する必要についても議論した。中国による、米国の農産物、畜産物、工業製品の購入が、交渉の枢要な部分を占めている。

 両者は、全ての主要な問題に関与していくこと、相違を解決するための生産的で技術的な議論をしていくことなどにつき、有益な意思を示した。米国は、構造的問題と赤字削減に特に焦点を当てている。

 前進はあったが、やるべきことはまだ多い。トランプ大統領は、ブエノスアイレスで合意した90日の期限は厳格な期限であり、3月1日までに満足できる結果が得られなければ米国は関税を引き上げる旨、繰り返した。米国は、これらの重要な問題を中国とさらに交渉することを楽しみにしている。

出典:‘Statement of the United States Regarding China Talks’(White House, January 31, 2019)


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