オトナの教養 週末の一冊

2019年3月8日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 2040年に日本は危機を迎えると指摘されている。高齢化がピークに達し、社会保障費、介護費、医療費、年金が現在より大幅に膨れ上がるからだ。さらに、就職氷河期世代にあたる中年世代のフリーターに対し、何も対策が取られなければ生活保護費が膨れ上がる可能性も指摘されている。『ルポ 中年フリーター』(NHK出版新書)を上梓した労働ジャーナリストの小林美希氏に中年フリーターの実態や人材派遣会社、中年フリーターへの対策について話を聞いた。

(imtmphoto/iStock/Getty Images Plus)

非正規雇用で働かざるを得ない事情

――中年フリーターについては経済誌などでも2040年問題のひとつとして度々問題視されています。

小林:35~54歳で非正規雇用で働く中年フリーターは、約273万人にものぼります。この問題に関して政策が立案され施行されるまでには3~4年かかりますから、世の中に訴えるのは本当にこれが最後のチャンスだと考えています。

 いち早く目を向けなければ、かれらは中年から高齢者になり、職業訓練をしても正規雇用されなくなる。そうなれば、生活保護費の追加的な予算額は最大で20兆円近くになる(2008年NIRA総合研究開発機構レポートより)とされ、後のリーマンショックを考えるとさらに膨れ上がる可能性があり、日本の財政は耐えられません。

――かれらはちょうど就職氷河期世代にあたるわけですが、取材をされているなかでどんな人生を歩んでいると感じましたか?

小林:たとえば、都内の有名大学を卒業後、大手旅行会社に正社員として入社するも、劣悪な労働環境で体調を崩し退職。アルバイトを経て、保険会社に入社するも基本給が月額13万円の男性がいます。彼のように正規雇用されながらも、病気や介護などで退職し、非正規雇用で働かざるを得ない男性がいるのです。

 女性では、早稲田大学や慶応大学といった有名大学を卒業した方が多い印象です。彼女らは、仕事に関し男性も女性も性別は関係ないという世代ですから、大学在学中は有名商社や都市銀行などの総合職に就くことを目指していました。しかし、いざふたを開けると女性の総合職は一人しか採用しないといった大手企業が多々ありました。急いで一般職希望に切り替えてももはや遅く、大学卒業後の初職がアルバイトや派遣といった非正規雇用に甘んじなければならなくなってしまった。

――かれらの月給はいくらぐらいなんですか?

小林:額面で23~24万円、手取りで20万円切るくらいが多い印象です。なかには、手取り20万円は贅沢だとまで考えている方までいます。夕飯は閉店間際のスーパーで値引きされた惣菜を買う毎日です。しかも、初任給から賃金がほとんど上がっていないのが実情です。当時、企業側は実家から通勤できる学生を優先的に採用している傾向がありました。そうであれば、多少給与が低くても生活していけますからね。

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