海野素央の Love Trumps Hate

2019年4月15日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

熱狂的な支持者の前に現れたトランプ大統領(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)

 今回のテーマは、「トランプの再選戦略と民主党の選挙戦略」です。ウィリアム・バー米司法長官がロシア疑惑に関するモラー報告書の概要で「シロ」の判定を下すと、ドナルド・トランプ米大統領は、早速2020年米大統領選挙に向けて再選戦略を実行に移しました。その柱となるのが、モラー報告書の政治的活用及び難民申請者に対する強硬策を意識した閣僚の解任です。

「メディアは国民の敵」の看板を掲げるトランプ支持者(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)

 トランプ大統領は中西部ミシガン州グランドラピッズで3月28日、支持者を集めた集会を開催しました。筆者はその集会に参加したので、本稿ではまず現地の様子を交えながら、同大統領の再選戦略について解説します。次に、ワシントンで実施した現地ヒアリング調査に基づいて、来年の大統領選挙における議会民主党の選挙戦略について述べます。そのうえで同党の弱点について触れます。

トランプの新たな「攻撃材料」

 トランプ大統領は集会で、バー長官のモラー報告書の概要を取りあげ、ロシア疑惑について「共謀も司法妨害もなかった」と語気を強めて語り、「勝利宣言」を行いました。同大統領は、明らかにロバート・モラー特別検察官によるロシア疑惑の捜査幕引きを図ろうとしています。

 その一方で、再選を見据えたトランプ大統領は、モラー報告書を議会民主党に対する「攻撃材料」として利用しました。

演説をするトランプ大統領(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)

 現在トランプ大統領が標的としている下院議員は、米議会でロシア疑惑における共謀と司法妨害の捜査を行っている下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党・カリフォルニア州第28選挙区選出)及び下院司法委員会のジェロルド・ナドラー委員長(民主党・ニューヨーク州第10選挙区選出)の2人です。同大統領は集会で、彼らを名指しで批判し、特にシフ委員長の辞任を求めました。

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