使えない上司・使えない部下

2019年4月25日

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 パワーハラスメントによる被害が後を絶たない。だが、小さな会社では、はるか前から日常茶飯事に見られた光景である。それを多くの人が少なくとも数十年間、黙認してきたがゆえにここまでの広がりをもってしまったととらえることもできるのではないか。

(LewisTsePuiLung/gettyimages)

 今回は、パワハラの古典的な職場である中小企業の部長職の男性(49歳)に「仕事で関わった人を次々と潰してしまう34歳の課長」について語ってもらった。

 この課長は部長の部下ではないが、同じフロアに勤務するために、ふだんから観察ができるという。筆者は、10年以上前から部長とは取材を通じて様々な事例の提供を受ける関係だ。

 今回の事例は特定がされないように、匿名とした。特に取材(聞き取り)のポイントは、主に次の点である。

 「パワハラをする課長はなぜ、その上の上司や周囲から問題視されないのか」
 「なぜ、堂々と不当ともいえる行為を繰り返すことができるのか」

 なお、2016年度の厚生労働省の調査では、中小企業(従業員99人以下)の半数以上はパワハラの相談窓口がなく、会社が問題を把握していないケースが多いとされる。結局、パワハラをする上司などの巧妙な嘘や策略でなかなか見えないのではないだろうか。パワハラを防止するうえでここが、最大のポイントなのだ。

 だが、なぜか、識者たちは指摘していない。次にあげる事例のどこに、読者諸氏は疑問を感じるだろう。

 事例の職場:広告代理店。社員数:120人程(正社員は90人、ほかは契約社員や派遣社員、パート社員など)。創業40年程。非上場で、社内に労働組合はない。

彼は、「ここまでするとトラブルになる」という想像力がないの

 彼(34歳、課長)は、仕事で関わった人をみんな潰すんだよね。たとえば、部下や同僚、ほかの部署の管理職、外部のスタッフなど、この1年で10人以上が被害に遭った。多くは精神的に滅入ってしまうか、辞めていくか…。いずれにしろ、社内では「困った人」として知られている。「サイコパス」とささやく社員もいるね。実際のところは本人も含め、誰もがわからないのだろうけど。

 30代前半で、うちの会社が3つ目。前職も広告系の会社で、数年で辞めた。上司との摩擦があったらしい。うちには中途採用試験で入り、現在4年目。慢性的に離職率が高いし、新卒採用は過去10年で数回しかしていないから、彼ぐらいでも30代前半でヘッド(課長)になれる。去年から一応、課長に。誰もが、うちでは30代で課長になるけどね。

 この1年で、20代の部下2人と30代の年上の部下をめちゃくちゃに叩き潰して、今や部内(部員は6人)で怖いものなし。部下たちが意見を言うと、全否定。常に自分の考えに従わせる。それが、「管理職の仕事」と信じ込んでいる。部下の言い分が正しい場合もあるんだろうけど、必ず否定。そもそも、課長とはいえ、まだ34歳。経験豊富とは言い難い。判断ミスもするし、要領を得ない発言も管理職会議ではしている。

 ところが、部下から意見を繰り返し言われると興奮し、部下を追及し、なじる。フロア全体に聞こえるほどの声…。管理職としてたった1年で、小さな会社のワンマン社長のように振る舞う。

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