宅地建物取引士試験などの資格試験のオンライン学習サービスを提供するサイトビジット(東京都千代田区、鬼頭政人社長)は25日、AI(人工知能)を使って司法予備試験の短答式問題の出題予測サービス「未来問(みらいもん)」を行うと発表した。司法予備試験は5月19日に行われる予定で、同社は試験日前の29日からこの予想問題を一般に無料で公開する。
60%の正答率目指す
今回の予想問題は、昨年10月に宅建士試験の前に2600人が事前に「未来問」を学習して、実際の試験で78%の的中率だったのに次ぐ第2弾。
短答式問題は民法、刑法、憲法、商法、行政法、民事訴訟法、刑事訴訟法の7分野および一般教養科目から95問が出題される。合格するためには59%以上の正解を回答する必要がある。このため、同社が事前に公開する予想問題では60%以上の的中率を目指すという。つまり、95問中、57~60問の正解が求められる。予備試験に合格するとその8割が司法試験に合格している。このため、予備試験は司法試験に合格する「第一関門」になっている。
予想問題は過去5年分の問題、さらに同社の予想試験用の講座テキスト3500ページ分、ウィキペディア法律用語344ページ分などを128のカテゴリーに分類して分析し、AIを使って95問の予想問題を作成した。カテゴリー分析では、「AI TOKYO LAB」の分析エンジンを使用した。昨年行った宅建試験の予想問題作成に当たっては手作業が多かったが、今回は経験を積んだことで開発の手間も減り作業がかなり自動化できるようになったという。
サイトビジットの鬼頭社長が弁護士資格を取得する際に勉強に苦労した経験から、予想問題を提供して少しでも効率的な勉強に役立ててもらいたいとしている。今回は予想問題をPRも兼ねて無料公開するが、来年からは一部有料で提供する計画だ。一方で、出題者側に対しては「AIに追いつかれない試験問題を作ってほしい」というメッセージも込めている。
増え続ける予備試験者数
司法試験の受験資格を得るためには、大学の法学部を卒業後に法科大学院を卒業(最短で2年)するか、司法予備試験を合格しなければならない。法科大学院は2004年に法曹を養成する目的で作られたが、その数は減り続けている。18年は横浜国立大学や近畿大学などが19年度から学生募集を停止すると発表、ほかの法科大学院でも定員割れが続くなど、学生の確保も難しい状態。文部科学省によると、全国の法科大学院はピーク時に74校あったのが、現在はその半数以上の38校が募集を停止している。
一方で、予備試験受験者数は11年の開始以来、毎年増加している。同年の受験者数が6477人だったのに対して、18年は1万1136人と1万人以上が受験している。しかし合格率は15年が3.8%の394人、16年が3.9%の405人と、旧司法試験時代と同じ合格率の「狭き門」となっている。