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2018年10月22日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 年に1度、約20万人が受験する宅地建物取引士試験が21日に行われたが、資格試験のオンライン学習サービスを提供するサイトビジット(東京都千代田区、鬼頭政人社長)は、この試験の出題をAI(人工知能)を使って事前に予測した。同社が22日に発表した結果によると、同試験問題の出題的中率は78%となり、予想を上回る的中率になった。

「2018年度宅建士試験予想問題『未来問』」

選択式問題が得意

 宅建士試験は過去の傾向からみて、出題された50問のうち35問に相当する70%を超える正解をすると合格するといわれており、今回日本で初めてAIが予測した試験問題が実際に78%出題されたことで、過去データの分析力を得意とするAIの優れた予測能力がまた一つ証明されたことになる。

 鬼頭社長はこの結果を受けて「過去の問題では70%程度の精度だったが、本試験でも同様かそれ以上の精度が出ることが判明し、未来問の可能性について自信を深めている。今後はこのエンジンを汎用化させ、カテゴリー分けも自動でできるようにしたい。ゆくゆくはテキストから問題を自動生成できる時代が来る」とコメントした。

 同社は「2018年度宅建士試験予想問題『未来問』」を今月9日に初めに公表、誰でも無料でダウンロードできるようになっていた。提供してから1週間で、本番受験の前に1800人がこの予想問題を試したという。同社は「実際に出題される試験と非常に近しい問題を事前に体験することが可能になり、合格率はこれまで以上に向上する見込み」と話していた。今後は試験問題の的中率の精度をアップするとともに、こうした問題集を受験者に有料で販売することで売上を伸ばしたい方針だ。これからはAIが得意とする選択式が中心の試験(例えば行政書士)などの予想問題の作成をしたいとしており、出題者側とAIを活用した予想問題を作る側の攻防がみられるようになるかもしれない。

 宅地建物取引業法の改正により、数年前から不動産関連の宅地建物取引業を行う事務所では人員の5分の1は宅建士の資格を持った社員を配置しなければならなくなった。このため不動産などの売買に際して重要事項説明などを行う義務のある宅建士の需要が上昇、これを反映してこの数年、宅建士試験の受験数が増加傾向になっている。昨年は07年以来11年ぶりで20万人を上回る20万9345人が受験、3万2644人が合格、合格率は15%の「狭き門」になっている。

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