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2018年10月11日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

渋谷ストリーム外観(東急電鉄提供)

 渋谷駅前の再開発に伴い駅周辺の新築オフィスビルの家賃が急騰している。米国のIT大手グーグルの日本法人グーグル・ジャパンが、9月13日にオープンした駅直結の複合施設「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREAM)」に来年秋に入居することが決まってから、家賃の値上がりに拍車が掛かっている。渋谷駅周辺にはIT関連のベンチャー企業が多く集まっており、この地区にオフィスを構えることがベンチャー企業のファッションになっている。

新築で坪5万円

 渋谷駅前は数年前から東京急行電鉄が中心となって再開発がスタートし、新築ビルがいくつも竣工している。2012年に34階建ての「渋谷ヒカリエ」が開業、ディー・エヌ・エー(DeNA)がこの中に本社を移転した。その後、スタートアップしたIT関連企業が駅周辺に集まっていたが、グーグルの日本法人が引っ越してくることが明らかになった昨年11月以降からこの動きが加速している。

 この結果、新築ビルの賃料が上昇、平均でも月額賃料が坪3万円している。立地条件の良いオフィスはさらに高く、坪5万円以上もするところも出ているという。となると10坪(33平方メートル)の小さな部屋でも月額家賃が50万円もする計算になる。実際にはこれに共益費分が加算される。それでも渋谷駅周辺の新築ビルに入りたいというテナントもいるようで、不動産の専門家は「オフィスの家賃に『グーグル効果』が現れているのではないか。ベンチャー企業にとって家賃が高いのは負担になるが、この地域にオフィスを構えることがステイタスにつながると考えているようだ」とみている。

 東京のオフィス家賃に詳しい三鬼商事によると、ビジネスの盛んな都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の8月の平均月額家賃は坪2万291円(新築は2万8772円、既存は2万42円)で、平均賃料は56カ月連続で上昇している。同月の平均空室率は2・45%で前月比より0.13㌽下がっており、1年前からほぼ一貫して下がり続けている。都心では再開発が盛んに行われているが、どの新築ビルも完成前にはほぼ埋まっている状況が続いている。

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