WEDGE REPORT

2018年9月27日

»著者プロフィール
閉じる

中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 国土交通省によると、2017年末のマンションストック総数は644万1000戸で、居住人口は1533万人と推計され、国民の約1割に当たる。そのうち、築40年以上の老朽マンションは72万9000戸あり、全体に占める割合は約1割だが、10年後には2・5倍の184万戸、20年後には5倍の351万戸と爆発的に増える。

(出所)国土交通省 写真を拡大

 このまま日本の「巨大都市」は、供給過剰で空き家だらけの「虚大都市」になってしまうのだろうか。実は自ら住むマンションの生死は、自分たちの選択にかかっている。マンション管理組合を通じて、「他人任せ」ではなく、自らマンション管理にコミットする姿勢こそが今、求められている。こうした住民が多いマンションは生き残っていく可能性が高い。

水漏れ、ガス漏れ……
管理不全で進むスラム化

 横浜市内で小規模のマンション管理業をしている、横浜サンユーの利根宏社長の案内で、同市中区にある1974(昭和49)年に建てられた築44年目のマンションを訪問した。

横浜サンユーが再生を支援している横浜市内のマンション。1回目の修繕は終わったが、2回目のめどがたっていない

 9階建てで34戸のうち、11戸が外国人、1階には飲食店が入っている。本来は見えないようになっているはずの配管が天井部分にむき出し、継ぎはぎ工事をした跡が見える。それでも、駅からの便がよいこともあって部屋は全室埋まっている。

 昨年12月に管理組合が民間金融機関から1500万円借りて、第一次工事として、外壁塗装、防水など初めての大規模修繕工事をした。しかし、資金不足から第二次工事の見通しは立っていない……。

 74年に建設され、分譲後は管理会社に管理を委託しなかったこともあり、マンションのメンテナンスがないがしろにされてきた。マンション内の管理組合は機能しておらず、修繕費と管理費も区別なく合算で徴収するという形態で、滞納者も複数いた。

 そんなスラム化の一途をたどるなか、このマンションを所有する親戚から管理を委託された田邊賢一氏は、マンションの惨状を見るなり「スラム化マンション延命化」を事業として行う横浜サンユーに駆け込んだ。

 旧建築基準法の基で建っているため、建て替えとなると戸数を減らす必要があるほか、高齢者、外国人が多く金銭的にも難しい。そのため、まずは田邊氏自身が管理組合の理事長となり、延命策として大規模修繕を提案した。

関連記事

新着記事

»もっと見る