ネット炎上のかけらを拾いに

2019年5月22日

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 NHKにも出演中の弁護士が、無罪判決への抗議を性的な言葉で侮辱した。

(timyee / iStock / Getty Images Plus)

日本でも起こった性犯罪判決への抗議デモ

 2018年4月にスペインで起きたデモを知っている日本人は少ないかもしれない。これは、18歳の女性を集団レイプした男たちに対して、裁判所が強姦罪ではなく性的虐待の罪で禁錮9年と判決を下したことに対する抗議デモだった。裁判所は「暴行や脅迫」が認められなかったと判断し、強姦罪を適用しなかった。デモは3日にわたって続き、3万人以上が参加したと報道されている。

 2018年11月にアイルランドで起きたデモについても日本ではあまり知られていないだろう。これは性犯罪の無罪判決に関する抗議デモで、裁判中に被告人側弁護士が「被害者(17歳少女)はTバックを履いていた」と主張したことが大きな反感を買った。

 性犯罪判決に関する抗議デモは近年に始まったことではない。1999年にはイタリアで「ジーンズデモ」があった。被害者の女性がジーンズを履いていたことから裁判所は「きついジーンズは女性の協力なしには脱がせられない」という理由で無罪に。これに女性議員らが中心となって抗議を行った。

 さて日本でも、2019年の4月と5月に性犯罪の無罪判決をきっかけとするデモが行われた。3月に4件の性犯罪無罪判決が続いたことが理由だ。

 簡単に4件の判決を説明すると、被害者の証言の信用性が問われ、行為自体が認定されなかったのは1件のみ。それ以外の判決では、性行為(あるいはわいせつ行為)の事実や被害者の同意がなかったことなどを認めている。無罪判決の理由は、被告人が「同意と誤信していたから」「女性が自分に好意を抱いていると誤解した可能性があるから」、あるいは「法的な抗拒不能(抵抗できない状況)の基準に足りないから」だった。

 特に、実父から性虐待を受け続けていた19歳女性の事件は大きく報道された。一般的な感覚として、実子を虐待し続けた父親が裁かれないというのは、「法の不備」もしくは「裁判官の不見識」のどちらかがあったとしか思えない。

筋肉弁護士「オナニーしたいだけの人達には日本語が通じない」

 一般人が疑問を抱くのは当然なのだが、この抗議デモについてツイッター上で嫌悪感をあらわにしたのが小林航太弁護士だ。「NHKに出演中の筋肉弁護士」と聞けば「あの人か」と思う人も多いだろう。昨年夏からタレントらとともに「みんなで筋肉体操」に出演して筋肉美を披露し、年末の紅白歌合戦にも出演していた。

 問題になった小林弁護士のツイートは、「法教育以前に、正義感振りかざしてオナニーしたいだけの人達には日本語が通じないんだよな」というもの。またデモ参加者からの返信に「『切実な思い』だけで突っ走っちゃってるからオナニーなんですよ」と重ねてツイートした。つまり、法の知識が少しでもあれば、安易な抗議などには至らないというのが小林弁護士のツイートの意図のようだ。

 このツイートはすぐに削除されたが、反発は大きかった。5月16日、小林弁護士が資生堂の広告に起用されることがわかると、抗議はこちらへも飛び火。資生堂はわずか2日間で「プロモーション終了」を宣言した。

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