ネット炎上のかけらを拾いに

2019年6月21日

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 広告界、時代を読めるはずなのに。

(Satoshi-K /Getty Images)

着物を着ると「ナンパしてくる人の年収は上がる」?

「驚いた」

「理解不能」

「下品」

 そんなつぶやきがツイッター上にあふれた。6月19日夜から突如として炎上したのが、老舗呉服店が3年前に打ち出した広告。着物を着た女性が横断歩道を歩く姿に「ハーフの子を産みたい方に。」とキャッチコピーがかぶせられていた。

 着物を着ると外国人からの注目度が上がる、だから外国人と結婚したい人におすすめ。そのような意図を込めたコピーだと推察される。広告は複数パターンあり、その他のコピーは「ナンパしてくる人は減る。ナンパしてくる人の年収は上がる。」「着物を着ると、扉がすべて自動ドアになる。」など。

 人からどう見られるかが着物を着る基準であるかのような内容や、品のある装いを唱いたいがために「年収」を持ち出す品のない表現が顰蹙を買っている。とはいえ最も驚きを持って捉えられているのは、やはり「ハーフの子」の表現だ。

 最初にこの広告を問題視したのは、メディアや広告における「ハーフ」などの表現を注視するアカウントだった。「ハーフ」や「外国人風」などの表現を安直に使う風潮に異を唱えるこのアカウントが、呉服店の広告に対して、「私達はペットでも人形でもありません。この屈辱を想像出来ますか? もううんざりです。」とツイートしたのが19日の20時51分。わずか半日で1万8000回以上リツイートされている。

2016年はどんな時代だった?

 このコピーは大手広告代理店のコピーライターが制作し、驚くことに2016年に東京コピーライターズクラブで新人賞を受賞した作品なのだという。

 3年前とはいえ、すでに広告表現のネット炎上が話題となっていた時期だ。ネット炎上を追う当連載の過去記事を振り返ると、当時は「H.I.S.の『東大美女図鑑の学生たちが、あなたの隣に座って現地まで楽しくフライトしてくれるキャンペーン』」「男性同性愛者に『女の子と付き合ったら変わっちゃうんじゃない?』と発言した女優」「鹿児島県志布志市のスク水UNAKO動画」などが炎上していた。

 それでは「ハーフ」や「外国人」に関する表現はどうだっただろう。

 芸能界では、2010年代から「ハーフモデル」が“流行”し始めたと言われる。ローラやトリンドル玲奈、ダレノガレ明美、マギーらがバラエティ番組などで全国区となったのも2010年以降だ。

 「ハーフモデル」が台頭する一方で徐々に言われ始めたのが、「ハーフ」という表現自体が持つ差別的なニュアンスや、「ハーフ“だから”憧れる」ことは外国にルーツを持つ人への差別的感情と表裏一体であるという指摘だ。

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