WEDGE REPORT

2019年6月27日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

固い握手を交わすと両者だが……(AP/AFLO)

 ここ1カ月で2回目となる日米首脳会談を前に、気になるニュースが伝えられた。

 トランプ米大統領が私的な席で、日米安全保障条約の破棄に言及したという。日本政府は波紋が広がらないよう〝火消し〟に大わらわだ。しかし、大統領は、安倍首相との〝信頼関係〟にかかわらず、これまでも日本に対するきびしい認識を披歴したことがある。

 「大統領のホンネ」(朝日新聞)とみる向きもある。そうだとしたら、日本にとっては深刻に受け止めなければならないだろう。28日に大阪で開かれる首相と大統領の会談は、日米の緊密な連携を再確認する場になるのだろうが、この影響が尾を引き、しっくりしない印象を与える恐れもある。

「あまりに一方的、不公平」

 トランプ発言が事実とすれば、日米安保体制の根幹にかかわるというべきだろうが、日本のメディアの報道ぶりには濃淡がみられる。

 朝日新聞、東京新聞両紙が大きく報じていたのに対し、産経などは政治面のミニニュースという小さな扱いだった。

 最初に報じた米ブルームバーグ通信によると、トランプ大統領の発言は最近、側近に対する個人的な会話の場でなされた。(安保条約は)日本が攻撃されれば、米国が援助することを約束しているが、米国が攻撃された場合、日本の自衛隊が支援することは義務づけられていないとして、「あまりに一方的だ」「米国にとって不公平だ」などと強い不満を漏らしたという。

 ブルームバーグ通信は、大統領が条約廃棄に向けて措置を取ったわけではなく、そのような動きはありそうもないーという米政府当局者の言葉も伝えている。大統領発言は「事情に詳しい関係者3人」が明らかにしたという。

 6月26日付の朝日新聞は「同盟を軽視するこれまでの姿勢に沿うもの」と分析。「米軍の駐留によって恩恵を受ける同盟国が、米国との貿易で黒字を稼ぐのは許せないという思いがある」と大統領の心中を推し量り、「G20での再来日を前に通商と安保を絡めて、日本に譲歩を迫る思惑」と論じている。あながち、的外れともいえまい。

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