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2019年6月10日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

産經新聞元論説委員長

産經新聞元論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員などを経て、2015年6月から産経新聞社監査役。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 安倍首相が米・イラン関係の仲介に乗り出す。6月12日からテヘランを訪問、最高指導者のハメネイ師らと会談する。核合意をめぐる緊張状態の打開につながれば、安倍外交は世界にその力量を示すことができる。しかし、ことが簡単にいくかどうか。

 日本が米国とイランの間に入るのは、実は今回が初めてではない。時代をさかのぼって1985(昭和60)年、中曽根康弘首相がレーガン米大統領(いずれも当時)の要請を受け、レバノンの米国人人質解放への協力を試みたことがある。この時はイランの反応が冷淡で失敗、日本にとっては苦い経験となった経緯がある。

(MikhailMishchenko/gettyimages)

イラン外相が協力を要請

 安倍首相のイラン訪問は5月24日、フジテレビのスクープで明らかになり、6月6日に正式発表された。首相は滞在中、ロウハニ大統領とも会談する。

 首相のイラン訪問が伝えられたタイミングは、5月16日のザリフ外相来日と、同25日からのトランプ米大統領来日の谷間だった。

 ザリフ外相は、核をめぐる米国との軍事的緊張が高まったことを受け、伝統的に良好な関係を維持してきた日本を急きょ訪問した。「米国が一方的に緊張を高めている」と核合意離脱後の米国の行動を非難。河野外相は、核合意の履行を強く求め、首相は「状況が緊迫している」と懸念を伝えた。

 ザリフ来日が、トランプ来日直前のタイミングを狙ったのは明白だが、ザリフ氏は日本側に対して、トランプ氏にイラン側の考えを説明してほしい旨、要請した。

 これを受けて首相は26日夜、来日2日目のトランプ大統領と六本木の高級炉端焼店で夕食をともにした際、ザリ外相との会談内容を説明、先方の招請に応じてテヘランを訪問したい旨伝えた。大統領は「(イランと話ができるのは)シンゾーしかいない」と応じ、積極的に勧めたという(5月28日付け産経新聞)。

 日本政府高官によると、外務省は以前から日本としての事態打開への協力の可能性について探っていたという。そうだとすれば、ザリフ来日は、日本側に行動を起す契機をもたらしたことになる。

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