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2019年4月8日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

産經新聞元論説委員長

産經新聞元論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員などを経て、2015年6月から産経新聞社監査役。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 スペインの北朝鮮大使館で〝複雑奇怪〟な事件が起きた。トランプ大統領と金正恩委員長との第2回会談直前の2月下旬、武装グループが白昼、マドリードの同国大使館を襲撃し機密情報が収められたコンピューターなどを奪って逃走した。犯人逮捕には至っていないが、北朝鮮の体制転覆をめざすグループがネット上で関与を認め、事件後、米FBI(連邦捜査局)と接触した事実も明らかにした。

 米政府は全面額否定だが、実際に情報機関が関わっていたこととなれば、首脳会談に関する情報収集が目的との憶測が高まり、北朝鮮が強く反発するのは必至。〝場外乱闘〟が核交渉の今後に予想外の展開をもたらす可能性が出てきた。

在スペイン北朝鮮大使館(AP/AFLO)

手足縛り暗号解読のPC奪う

 時あたかもハノイでの第2回米朝首脳会談5日前の2月22日午後。模造拳銃、ナイフ、粘着テープなどを手にした10人の男が大使館に侵入。居合わせた館員ら8人に殴るの暴行を加えて目隠し、手足を縛りあげた。代理大使を地下に引きずり降ろし、北朝鮮の人権を擁護する団体のメンバーと名乗ったうえで〝脱北〟を強要した。代理大使は拒否したが、押し問答の間に女性1人が自らテープをはがして2階バルコニーから飛び降り、助けを求めた。

 かけつけた警察官が館内を捜索しようとしたところ、館員になりすました犯人グループの1人が「何の異常もない」と立ち入りを拒否。現場が治外法権の大使館であることから、警察は強行突破をできず、離れた場所からの監視を余儀なくされた。

 犯人グループは直後に大使館の車2台に分乗して逃走、パソコン、館員の携帯電話、USBメモリーなどを持ち去った。パソコンは平壌と通信する際に使用する暗号の解読用だった可能性があるという。

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