矢島里佳の「暮らしを豊かにする道具」

2019年7月19日

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矢島里佳 (やじま・りか)

株式会社和える 代表取締役

1988年東京都生まれ。職人と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から全国を回り始め、大学時代に日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いから、大学4年時である2011年3月、株式会社和えるを創業、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2012年3月、幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、 “0歳からの伝統ブランドaeru”を立ち上げ、日本全国の職人と共にオリジナル商品を生み出す。テレビ東京「ガイアの夜明け」にて特集される。日本の伝統や先人の智慧を、暮らしの中で活かしながら次世代につなぐために様々な事業を展開中。

 暑くて寒い夏が今年もやってきた。夏は暑いはずなのに、電車やバス、カフェや会議室など、室内に入ると寒くて仕方ない。ノースリーブや半袖を着ても、必ず一枚羽織るものが必要となるのが、現代の夏のライフスタイル。クーラーの効いたところにいると、季節感も感じずに毎日をやり過ごしてしまう。四季こそが日本の伝統文化を育むとても大切な要因であったのだが、その四季が鈍化しつつある。

iStock / Getty Images Plus / Milatas

 毎年、なんとか変えられないかと思うのだが、私一人の力ではどうにもならず……。クールビズでノーネクタイや、エアコンの温度設定を28度にしようと呼びかけるものの、ネクタイを外すだけでは劇的に涼しくなるはずもなく、夏のビジネスフォーマル着の概念を再考する大手企業がそろそろ出てきてほしい。環境や未来を考える会議をクーラーで冷え切った会議室で、真剣に話すのもなんだか滑稽である。

写真:Shutterstock/アフロ

 そもそも、スーツという文化自体ヨーロッパのもの。全く異なる気候の地域から輸入されたもの。昔は憧れがあったのかもしれないが、日本の気候風土に本来は合致していないものを着続けるというのは考えものである。特に夏は、スーツを着て暑そうにしている男性を見ていると、こちらも体感温度が数度上がってしまう。人間は実際の温度だけではなく、目や耳など五感で暑さを感じる生き物である。みんなで涼しく過ごす方法を考えないと、ひたすら夏の温度は上がる一方。しかしながら、日本の伝統着である着物を着れば良いかというと、実はそれもそれで考えものである。なぜなら、ここ数十年の温暖化で、着物ももはや暑い衣類になってしまったからである。果たして私たち日本人は、夏はいったい何を着て乗り越えたら良いのだろうか。

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