2024年5月17日(金)

WEDGE REPORT

2019年12月16日

何か別に隠されたメッセージ

 成長による身体の変化に苦しむ上、GPファイナルで新世代のロシア勢3人に敗れたことで〝考える時間〟を求めたのだろう。しかしフィギュア界では「ザキトワの選択には〝何か別に隠されたメッセージ〟も込められているのでは」と勘繰る向きも少なくない。

 4回転時代に突入し〝ジャンプ大会〟とまで揶揄されるようにもなっている女子フィギュア界に対し、ザキトワはモチベーションを失いつつあるのではないか。そういう見方をする有識者は実際のところ少なくない。明らかに今季から女子フィギュアのスタンダードはターニングポイントを迎え、4回転、トリプルアクセル(3A)を構成に組み込めなければ表彰台に上がれない時代になった。確かにルッツやループの連続3回転を駆使してポイントを重ねてきたザキトワにとっては死活問題だ。

 しかしながらザキトワの技術は普通に考えれば卓越している。4回転ジャンプも3Aも飛ばないが、成長痛と戦いながら7センチも伸びた身長で3ルッツ、3ループをこなせるテクニックはまだまだ世界レベル。だからこそGPファイナルという世界トップを争う大会への参加資格を得た。あくまでも同大会での最下位は「世界6位」になったということだ。

 しかも繰り返すが、平昌五輪以降の彼女はコンディション不良によるスランプにあえぎながらも今年3月に世界選手権初制覇を成し遂げている。

 日本の大会等で幾度かザキトワのコーディネ―タ―を務めた経験も持つ日本人のフィギュア関係者は、こう打ち明ける。

 「そういう背景をまったく顧みず、ロシア国内のメディアからは『ザキトワは引退するべき』という声が鳴り止まない。それがGPファイナルの〝惨敗〟でピークに達すると、ザキトワは心底疲れ果ててしまったのでしょう。さすがにまだ彼女は17歳ですからね」


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