フィギュア界に衝撃が走った。フィギュアスケート女子で2018年平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザキトワが事実上、競技活動の休止を表明したからだ。母国ロシアはもちろんのこと日本でも人気は高く、世界中の人たちが17歳女王の決断をなかなか受け入れられずに困惑している。
13日、ロシアの政府系テレビ「第1チャンネル」の番組に出演。今月下旬に開催されるロシア選手権を欠場し「新たな自分を探すことになる」と口にすると、今は大学入学のための国家統一試験に向けて勉強中であり、体育大学進学から将来的にはコーチ就任を目指していく方向性も明かした。今後も練習は続け、アイスショーに出演していくとのことだが、当面は第一線から離れるとみられている。
15日には自身のインスタグラムで「引退」を否定。今もロシア代表として国際大会に出場できる立場を強調し、引退宣言とも受け取られている空気に釘を刺した。本人からの発信に胸を撫で下ろした人も多いようだが、まだ安心はできないだろう。インスタグラム上では自身が母国のテレビ出演で表明し、世界中のメディアで報じられた「競技活動休止」の解釈についても否定したことでネット上では「?」が漂う事態になっている。
ただ、話を総合すれば、やはり本人としては「現役」の意識を持ち続けながらも競技会への参加を一時的に停止し、表舞台から一旦離れたところからすべてを見つめ直した上でリンク復帰を目指すつもりなのだろう。しかし彼女ほどの経歴を誇る偉大な選手でも、復活を遂げるのは困難な道のりなのかもしれない。
平昌五輪で金メダルに輝いた後、昨季は身長が7センチも伸びるなど成長痛に悩まされた。グランプリファイナル、ロシア選手権、欧州選手権と3大会連続で優勝を逃し、母国でも風当たりが強くなっていた。それでも今年3月に世界選手権を制覇。意地とプライドが初戴冠をもたらした。
だが、押し寄せる新世代の波にあらがえない日々にも直面した。10月のジャパン・オープンではシニア1年目で同じロシアのアレクサンドラ・トルソワが4回転ジャンプを3種4本も組み込む高難度演技を成功させ、話題を独占。ザキトワもほぼノーミスの演技だったものの衝撃のジャンプで高得点を叩き出した15歳のトルソワに屈し、リンクの裏で人目もはばからず号泣した。
そして今月上旬、イタリア・トリノで行われたグランプリ(GP)ファイナル女子ではロシアの16歳、アリョーナ・コストルナヤが世界最高の合計得点をマークして初優勝を飾った。2位はフリー1位の15歳アンナ・シェルバコワ、3位には女子初の4回転フリップを決めたトルソワが入り、ロシア勢3人が表彰台を独占。しかし、ここでザキトワはショートプログラム(SP)こそ2位につけていたが、フリーではジャンプの転倒や数々の回転不足が響き、まさかの最下位に沈んでしまった。
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