2022年12月8日(木)

WEDGE REPORT

2019年12月16日

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冷血トゥトベリーゼ

 とにかくロシアは「結果第一主義」。ザキトワがGPファイナルで後塵を拝する結果となったロシア勢3人は全員、エテリ・トゥトベリーゼコーチの門下生だ。ザキトワもトゥトベリーゼコーチに師事しているが、ロシア国内では「若い3人にとって代わられ、もう彼女自身は指導に関する興味の対象から外れている」と断じる声もあるほど。

 前出の関係者は次のようにも続ける。

 「トゥトベリーゼはロシアの国内で超一流指導者としての名声を得ており、国からの全面バックアップで『勝てる選手』の育成に心血を注いでいます。とにかく、それを遂行するための情け容赦はまったくない。当初目をつけていた選手が勝てなくなれば次の強化対象に鞍替えすることも躊躇しないことから〝冷血トゥトベリーゼ〟とささやかれているのはロシアで有名な話です。若い3人にトゥトベリーゼコーチが熱を入れている――。

 そういう空気感をザキトワはまず間違いなく感じ取っているでしょう。ジャンプ大会の流れになっている今季、少し結果が出なくなっただけで、なぜ〝引退勧告〟をされなければいけないのか。今回のザキトワの苦渋の選択のウラには、トゥトベリーゼコーチを含めロシアの国家が『結果第一主義』に突っ走る風潮に警鐘を鳴らす意味もあったのではないかと思います」

 確かに結果ばかりにとらわれ過ぎるからこそ、ロシアは世界反ドーピング機関(WADA)にドーピング問題で自国選手団が東京五輪・パラリンピックなど主要大会から4年間除外するとの処分を下されるなどスポーツ分野の醜聞が絶えないのかもしれない。ザキトワのような非常に優れたアスリートたちが多い半面、ロシアはスポーツ大国でありながら世界的に孤立する要因を自ら作り出していることにも早く気付くべきである。

  
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