2024年10月27日の衆議院選挙では、野党のうち、国民民主党が議席を4倍(7から28議席)、れいわ新選組が3倍(3から9議席)、立憲民主党が1.5倍(98から148議席)に議席を伸ばしたが、維新は減少(43から38議席)だった。
比例代表の得票数を21年の前回衆院選と比べると、国民は259万票から617万票で358万票の増加、れいわは221万票から380万票で159万増加、立民は前回の1149万票から1156万票で7万票の増加にしかなっていない。立民の議席の躍進は、むしろ自民党の失敗によるものだろう(自民党の議席は256から191、1991万票から1458万票で533万票の減少)。
すると躍進したのは国民とれいわと言うことになる。なぜそうなったのかを、両者の経済政策から見てみたい。
れいわの政策の財政コストは70兆円以上
まずれいわは、個人消費を活性化させるため、消費税の廃止と季節ごとの10万円の支給、国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料の引き下げ、子ども・子育て政策では、子どもへの手当として高校卒業まで所得制限なしで一律1カ月に3万円支給、保育費、給食費、子どもの医療費などを無償にするという(れいわ新撰組基本政策)。
これらにかかる財政コストは、消費税の廃止で23兆円(23年度の消費税収)、季節ごとの10万円支給で1回10万円×1億2600万人×4回で50兆円である。他にもあるがこれだけでも合わせて73兆円である。日本の税収は71兆円しかないので、これはさすがに無理だと思う。
これが可能な根拠として、日本の通貨は信用貨幣でありこれは国の支出によって生まれ、課税によって回収される、支出が先に行われ、税収は後から入ってくるという現代貨幣理論(MMT)的な説明がある(前掲基本政策の1経済・産業)。もちろん、財政がかなり赤字でも何も起きないというのは日本が経験したことであるが、73兆円はさすがに大きすぎ、かつインフレになった時の対応策がない。
なお、岸田文雄内閣が24年度の1人4万円の定額減税で4兆円、ガソリン補助金で年5兆円程度と、合わせて9兆円支出している。つまり、9兆円くらいなら問題ないということだろう。