ニューヨークの冬は寒くて長い。毎日のように氷点下になる。昨年はテキサス州知事が移民をバスでニューヨークに送り届ける様子が連日にわたって世界に報道された。
かつてのニューヨークの一部はその治安の悪さから「スラム街」とのイメージも強かったが、今はそうではない。20年前は荒れ果てていたハーレム125丁目通りに今は、コーヒーチェーンのスターバックスがあり、商店が営業し、飲食店は路上に椅子とテーブルを出す。
この街はなぜ、変われたのか――。テキサス州からのバスを下りた移民やもともとホームレスをしていた人々が氷点下のニューヨークをどこで過ごしているのかを辿ると見えてくる。
シェルターに8万6000人超を収容
ニューヨーク市役所にはホームレス支援局という部署がある。ホームレスらにシェルター(避難所)を提供している。避難所は、体育館のように広く大きいものから、ホテルや住宅を改造したものなどさまざま。家族用の部屋も用意されている。
ニューヨーク市役所のホームページで同局の日報を見ると、最近の収容人数は8万6000人を超えている。これらのうち、5万~6万人が、テキサス州から送り込まれた移民だという。
一方、シェルターに入るのを拒む人もいる。シェルターに入ると持ち物が盗まれるとか、仲間から暴力を受けるとかいろいろな言い分があるが、シェルター内における集団生活を維持するための規則を嫌って入らない人もいる。
これらの人たちは気温が特に低いときは地下鉄の車内や構内で過ごしている。実際、冬はニューヨークの地下鉄でホームレスが目立って増える。これについての乗客からの苦情も多い。
また何らかの精神疾患を持っていて路上生活を送る人々もいる。これらの人が地下鉄構内等で人を傷害した事件も複数発生している。これらの人たちに対しては、最近、ニューヨーク市のアダムズ市長は精神科病院に移送するためのルールを決めたが、強制的な治療には反対論もあると報道されている。