「街の本屋」が減っていく中、経済産業省が設置した大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム」が書店活性化への課題をまとめた。そこでは、本に読み手が出会う経路として、「書店」、「図書館」、「ネット」の3つがある中、書店だけが減っている現状を指摘。3つの流通経路の機能がそれぞれ異なるため、「共存していることが本というコンテンツの流通の在り方として理想である」としている。
書店はどうネットや図書館と共存していけば良いのか。書店が減っている原因を探りながら、その手だてを模索してみたい。
小型店の淘汰から大型書店の閉店へ
日本出版インフラセンターの調査によれば、2003年度に2万880あった書店の数は23年度に1万918と、この20年でほぼ半減した。
03年度以降の書店数の動きをみると、一貫して減少傾向にあったのは売り場面積300坪未満の小型書店だった。300坪以上の大型書店は少なくとも数年前まで増えていた。
09年度以降は増加ペースが鈍化しているように見えるが、1000坪以上の超大型書店はこの間も増えており、18年度に101店になった。書店数の減少の背後に業種レベルでの大型化があったことがわかる。こうした大型化を反映し、総面積は2000年代を通して拡大していた。
潮目が変わったのは、増えていた大型書店の数が天井を打った18年度だ。以降5年連続して前年を下回っている。減少ペースは加速気味で、23年度は大型書店の数、書店総面積の前年比減少率がこの20年で最高となっている。
Webメディアとの競合
書店の減少には何が影響していたのか。時期によって影響の仕方は異なるものの、一貫していたのは90代後半に普及し始めたインターネットだ。
継続的に影響を受けているのは雑誌であろう。出版科学研究所の調べによれば、雑誌販売額は97年をピークに減少の一途を辿っており、現在はピーク時の3割程度となっている。インターネットが提供するwebメディアは、雑誌に代わる手軽な情報媒体としてだけではなく、広告媒体としても脅威となった。
それまでは「雑高書低」と呼ばれた時代である。雑誌の販売額の低迷は、雑誌のウェイトが高い小規模書店、いわゆる街の書店の経営に響いた。