2024年5月17日(金)

Wedge REPORT

2020年1月6日

売却先候補はどこか?

 言うまでもなくゴーン被告の逃亡によって日産内部には大きな衝撃が走っている。ゴーン被告は8日にもベイルートで記者会見を開く予定。この場でゴーン被告には「日産に対して不利な情報を暴露するのではないか」との見方が出ていることから、日産幹部も気が気ではない。そうなれば日産内部も少なからず混乱し、マリノス売却どころではなくなる可能性も出てくる。

 ちなみにマリノス株の売却先候補として一部メディアでも報じられているのが、マカオを中心にカジノ経営権を持つ世界最大級のIR(統合型リゾート)企業「メルコリゾーツ&エンターテインメント」社だ。すでにマリノスとは7月に同社の日本支社がトップパートナー契約を結び、ユニホームにもロゴが入っている。マリノスの地元・横浜市は日本でのIR解禁に備え、誘致を表明。

 IR企業の同社にとって誘致に積極的な横浜市をホームタウンとするマリノスの経営権を握るメリットは大きい。それもあって日産からマリノス株を買い付けた同社がCFGとタッグを組んで海外企業の株式過半数取得を禁ずるJリーグ規約に抵触しないように、新たな日本法人を設立してクラブ運営に乗り出すとの具体策まで飛び交っているほどである。

 ところが、横浜市のIR誘致に関しては林文子市長だけでなく神奈川県・黒岩祐治知事が全面支援の構えを見せているものの、反発する市民や地元議員、有識者も数多い。加えてIR施設の事業をめぐって中国企業側から賄賂を受け取ったなどとして現職の衆議院議員が逮捕された汚職事件も、イメージとしてはマイナスだ。その悪影響が買収話にも及んでしまうのではないかと次のように心配する声も、マリノスのクラブ内から聞こえて来る。

 「他の議員にも捜査の手が及ぶなど汚職事件が広がりを見せる中で、IR企業を親会社にするという選択肢は難しくなるのではないか。いくら事件と無関係とは言え『IR』には汚職事件の捜査と話題がひと段落するまで、クロスオーバーしにくいというのが正直なところかもしれない」

 名門マリノスの身売り話にも何らかの影響が及びそうな「ゴーン容疑者逃亡」と「IR汚職事件」。無風のまま杞憂に終わり、2020年シーズンも万全のクラブ運営下でチームがさらなる躍進につなげることを祈りたい。

  
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