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2012年5月9日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 矢崎総業はもともと「世界とともにある企業」を社是としている。当初からグローバル化を企業理念としてきたわけだ。グローバル化に迷いはなかったということだろう。

 グループ本社機能を置く静岡県裾野市のワールド・ヘッド・クォーターズ(WHQ)でも公用語は英語ということになっている。これもグローバル化の“決意”の表れだろう。「現実には中々そう(英語が公用語に)はならない」と矢崎専務は苦笑するが、ユニクロのファーストリテイリングや楽天が打ち出した社内公用語の英語化のモデルとも言われている。

 では、グローバル化することで国内は空洞化したか。もちろん、それまでの国内の事業を海外に移せば、その仕事はなくなる。では矢崎総業はそれにどう対処しているのか。

 海外への事業展開に伴って、国内の地方にあった電線工場などを閉鎖している。その一方で、紙や食品、ガラスなどのリサイクル事業や介護事業、農業といった新事業への転換を進めているのだ。WHQのある社用地の一角では「紙ふうせん」という老人介護施設を運営。周辺地域へのデイケア・サービスなども行っている。

 企業には雇用を生み出す社会的責務がある。だがそれは、日本の立地では国際的に勝てなくなった不採算事業をあえて抱え続けることではないはずだ。企業が成長を追う以上、もはやグローバル化は不可欠だ。その一方で研究開発や採算が合う高採算事業は日本に残るだろう。また、日本で可能性のある新規事業にヒト・モノ・カネを投じていくのも企業の使命に違いない。

ライフネット生命
赤字でも目指すは世界

 3月15日、東京証券取引所のマザーズ市場にネット専業の保険会社ライフネット生命が上場した。社長の出口治明氏は大手保険会社の国際畑を歩いた人物。「保険料を半分にするから安心して赤ちゃんを産んで欲しい」と、理想の保険会社を目指して起業した。

 昨年秋で保険契約が10万件を突破したとはいえ、収入は30億円に満たず、経常赤字が続いている。にもかかわらず、出口社長の目は世界に向いている。上場会見では「当社は初めからグローバル企業を目指している」と言い切った。上場を機に成長を加速させ、いずれ世界に打って出るという算段らしい。

 大手保険会社の国際担当だった頃、グローバル化戦略を提案したが、受け入れられなかった。国内の人口が減少する中で、保険会社が成長するには海外市場に果敢に出て行く以外に道はないというのが出口氏の信念だった。

 保険会社や銀行などは内需型産業と扱われ、もはや成長しない産業と思われがちだ。出口氏は「日本にもまだまだ成長株があっていい」と、自らの会社の上場に踏み切った。その成長の先にはグローバル化を見据えているのだ。

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