The Diplomat 5月26日付で、米外交問題評議会のElizabeth C. Economyが、中国は経済的梃子を使って、中国に不都合な他国の政策を変えさせようとしているが、これはうまく行かないだろう、と言っています。
すなわち、中国はビジネスと政治を一緒にしないことを標榜しているが、実際は、南シナ海の島嶼の領有権をめぐって、中国人のフィリピンへの旅行を制限したり、日本が東京での世界ウィグル会議開催を認めたことに対して、経団連会長と中国外相との会談をキャンセルするなど、経済的梃子を使ってきている。
実際、ある国でビジネスを行なえば、とりわけ、中国がスーダンやジンバブエでしてきたように、武器を供給すれば、ビジネスと政治を分けることはできなくなる。特に、小国――多くの場合、貧しい――との外交関係を購おうとして、北京と台北が展開している競争などは、どう見てもあからさまなビジネスと政治の混同だ。
しかし、こうしたやり方は、1)他国が中国の意向に沿っても、中国はそれに報いようとしない、2)他国が本心でそれを望んでいなければ、経済的梃子によって中国の利益を自らの利益として受け入れさせるのは元々極めて難しい、3)中国は自らの経済的影響力を過大評価しがちだ、という3つの理由から、あまり効果はないだろう、と断じています。
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経済的梃子にまず効果がないのは論説の指摘する通りです。また、中国の場合は、単に効果がないのみならず、経済的梃子の使い方が露骨過ぎて逆効果になることが多いと言えます。尖閣問題で、日本へのレアメタル輸出を止めたのはそのいい例でしょう。