あの挫折の先に

2012年7月3日

»著者プロフィール
著者
閉じる

夏目幸明 (なつめ・ゆきあき)

ジャーナリスト

1972年、愛知県生まれ。愛知県立豊橋工業高校から早稲田大学へ進学、卒業後、広告代理店に入社し、その後、雑誌記者へ。小学館『DIME』に『ヒット商品開発秘話 UN・DON・COM.』を、講談社『週刊現代』には、マネジメントの現場を描く『社長の風景』を連載。ほか、明治学院大学講師をつとめ就活生の支援を行う。『資格の学校TAC』では、就活生と一緒にエントリーシートを書き、面接練習を行う講座を持つ。
執筆記事:「社長の風景」(現代ビジネス)、「火力発電所奮闘記」(『VOICE』)、「ビジネスの筋トレ」(『フレッシャーズ』)、「就職活動セミナー」(『資格の学校TAC』)

第4回 お風呂でも使える電気シェーバー
『ラムダッシュ』の開発者
パナソニック株式会社 依田裕希さん(38)

よだ・ゆうき/アプライアンス社 ビューティ・リビングビジネスユニット 商品企画グループ。技術者として入社し、現在は電気シェーバー『ラムダッシュ』の商品企画立案を担当する。

 自分たちが開発し、世に出した商品で、世のオトコたちのシェービングを変える──これに成功した時、彼は「この仕事をやっていて本当によかった」と喜びをかみしめたそうだ。

 「例えば『ラムダッシュ』はお風呂の中で、顔を泡でつつみながら使うことができます。まず、ひげがそりやすいから、シェービングが気持ちよくなりますし、肌にやさしく深ぞりができるんです。使用後は、シェーバーをシャワーなどで丸洗いできるから、まめに洗っても手間がかからず、より清潔にお使いいただけます」

お客様の浴室まで入って観察

 こうして、ひげそりを進化させることができた時、彼はやりがいを持つ、というわけだ。仕事が好きだから、企画立案の際、必要であれば驚くようなこともする。

『LAMDASH』ES-ST23 カミソリ感覚で、お風呂の中でも使える電気シェーバー。外刃を外さなくても、内刃を洗えるようにしたのは依田のこだわりポイント。自身が内刃を水道に落としてしまった経験から、この構造を思いついたという。本体カラーは、白、赤、黒の三色。実勢価格は12000円前後。

 「開発の際、お客様の家に足を運び、水着を着ていただいてお風呂でひげをそる様子を見ながら発想のヒントを探したこともありましたよ(笑)。結局は、こうして自分自身が動き、みなさんがどんなスタイルでひげをそっているか、徹底的に行動を分析することが新たな商品を生むからです」

 商品企画は、誰かに「こういうものがあればいい」と教えてもらえることはない。ユーザーが想像できる程度の商品はすでに誰かが実現している場合が多いからだ。だからこそ、彼は自分自身が動き、お客様の浴室まで入って、観察をする。

 そして、この姿勢は、様々な挫折から生まれたものだった。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る