あの挫折の先に

2012年5月28日

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夏目幸明 (なつめ・ゆきあき)

ジャーナリスト

1972年、愛知県生まれ。愛知県立豊橋工業高校から早稲田大学へ進学、卒業後、広告代理店に入社し、その後、雑誌記者へ。小学館『DIME』に『ヒット商品開発秘話 UN・DON・COM.』を、講談社『週刊現代』には、マネジメントの現場を描く『社長の風景』を連載。ほか、明治学院大学講師をつとめ就活生の支援を行う。『資格の学校TAC』では、就活生と一緒にエントリーシートを書き、面接練習を行う講座を持つ。
執筆記事:「社長の風景」(現代ビジネス)、「火力発電所奮闘記」(『VOICE』)、「ビジネスの筋トレ」(『フレッシャーズ』)、「就職活動セミナー」(『資格の学校TAC』)

第2回 スキンケアの研究者で『専科』の開発者
株式会社資生堂 渡邊裕子さん(45)

わたなべ・ひろこ/スキンケア研究開発センター主任研究員。肌を潤いで満たし、高品質で、求めやすい価格という消費者ニーズを1つにした化粧水『専科』を開発した。

 

 彼女の顔を見て“あ!”と思った方も多いのではないだろうか。大ヒットしているスキンケアブランド・『専科』の研究者として、テレビCMにも出ているのだ。

 売れた理由は、商品機能の明快さや、これ1つでスキンケアを完結できるほど高い保湿効果、でもリーズナブルな価格という点。とくに人気が高い『専科 保湿クリームから作った化粧水』の機能について、彼女が楽しげに話す。

 「スキンケアは“保湿”が基本なんです。男性も、脂の出過ぎや毛穴の開きは保湿で対策できます。しっかり保湿しておけば、日焼けのダメージ対策にもなりますし、シワの防止にもなるんです。3週間ほどお顔や首周りにバシャバシャと塗っていただけば違いが実感できますよ」

仕事の原動力は
“自分の思いが世の中をよくする”こと

柔らかな笑顔で迎えてくれた渡邊さん。新人時代に経験した彼女の挫折に迫った。

 とくに、開発の経緯が彼女の誇りのようだ。透き通るような肌の彼女がうれしそうな笑顔で話す。

 「このシリーズは“あなたとつくるスキンケア”という考え方で開発を進めました。実際に、私とマーケティングの担当者が一緒にお客様のご家庭を訪ねるなどして、数千件のご意見をお伺いして作ったんです」

 自分が世の中の動きを調べ、長年培ってきた技術で、世の中の役に立つものを作る。これが楽しくないはずがない。

 「充実していますね。仕事って“自分のやりたい事があって、それをちゃんと主張でき、周りも聞いてくれる環境があって、世の中に結果を問える”……そんな状況の時、すごく楽しいものなのかな、と思います」

新入社員当時は、ただ、忙しかった

 そんな彼女も、入社直後から周囲に認められ、期待を一身に集め、順風満帆の仕事人生を送ってきたわけではなかった。

 「誰でもそうかもしれませんが、入社前の夢を忘れかけた時期もありました。上司に頼まれたことをやれば“私がやるべき仕事はここまで。ここからは別の人の仕事”といった感覚でもいました。33歳の時に産休に入ったのですが“これでしばらく仕事から離れられる”とホッとしましたよ」

 ならば彼女は、何をきっかけに大ヒット商品を生み出す研究者にまで成長したのだろうか?

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