世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月23日

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 元米海兵隊中将・国防次官補で、2001~5年に、在日米海兵隊司令官、第3海兵遠征軍司令官などを歴任し、日本でもよく知られているGregsonと、Center for National Interest(元ニクソン・センター)の中国専門家Meiselsが6月15日付The Diplomatのウェブサイトに、「中国ライバル説の危険性(The Danger of China as Rival Talk)」と題する小論を寄稿し、「中国は競争相手」などという安易なレッテル貼りは適切でない、と主張しています。

 すなわち、Forbs下院議員など、中国に厳しい一部の識者は「米国は中国が『競争相手』であることを明示すべきだ」と主張するが、それは適切ではない。

 我々(GregsonとMeisels)は、「競争する具体的対象は何か」及び「競争相手という表現を使うレトリック上の変化が米政府の行動に如何なる変化を与えるか」を明らかにしないまま「中国との競争」の問題を取り上げることこそが「挑発的」だと考える。むしろ、中国を公式に「競争相手」と呼ぶことこそ、これまでの我々の対中努力を台無しにし、米中間で冷戦時代のような二元論的対立関係が始まるだけだ。

 さらに、中国国内において、米国を「外国の悪魔」とみなす勢力を勢い付けてはならない。その意味でも、特に現時点で「競争相手」といったレッテル貼りは適切ではない。地域の同盟国、友好国も、米国のプレゼンスこそ望んでも、米中衝突は望んでいない。

 一方、米国の行動をより明確にすべしとのForbs議員の意見には、我々は、特に軍事的見地から賛成する。例えば、米国は、接近阻止・領域拒否(A2/AD)やエアシー・バトルなどの新しい技術が、同地域の戦略的概念に与える影響について率直に語るべきだ。

 接近阻止・領域拒否やエアーシー・バトルは、紛争に対して新しい技術が持つ有効性を探っているのであって、戦略そのものではないが、このことは、技術の重要性が低いということ意味するわけではなく、技術を無視すれば、新たな技術の恐ろしい効果を予見できなかった1914年の欧州の失敗を繰り返すことになる。中国との紛争が発生する論理的な理由はないが、同様に1914年の戦争発生にも論理的理由は存在しなかった、と論じています。      

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 この論説は、最近米国内で勢いを増す対中強硬派の単純な「中国脅威論」に反駁しようとする意気込みをもって書かれたものと推測されます。 

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