復活のキーワード

2012年8月10日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

あまり注目されていないが、今国会に「総合取引所法案」が提出されている。
狙いは証券取引所に商品の売買を認め、日本に商品市場を復活させることだ。
“言い値”で買わされて痛手を被っているLNGのような事例を減らすためにも、
「市場」を持って価格決定権を握らなければならない。

 輸出額から輸入額を引いた「貿易収支」の赤字が続いている。6月末に財務省がまとめた5月の貿易収支は9073億円の赤字で、3月以降3カ月連続の赤字となった。赤字の最大の理由はエネルギー資源の輸入増である。

 統計では、原油や液化天然ガス(LNG)などが「鉱物性燃料」に分類され、輸入額全体の3分の1を占める。この鉱物性燃料が5月は前年同月比で19.6%も増えたのである。中でもLNG輸入額は44.3%増という高い伸びを記録した。

 新聞などでは原子力発電所の稼働停止に伴って火力発電用のLNGなどの需要が急増したため、と説明されている。だが、統計をよく見ると、LNGの輸入量は16.8%の増加だ。つまり、量の増加よりも価格の上昇の影響が大きいことが分かる。

 読者の多くは首を傾げるに違いない。原油価格は下がっているのではないか。ニューヨーク市場のWTI原油の先物価格は、4月末には105ドル前後だったが、6月下旬には80ドルを割っている。それなのになぜLNG価格は下がっていないのか。

「買い負け」に重い腰を上げた政府

 実はLNGは売買される「市場」がなく、価格は相対取引で決まっているのだ。日本がエネルギー価格の決定権を握っていないために、売り手の“言い値”で買わされている。東京電力など電力会社は燃料代を自動的に価格に転嫁できる料金制度のために、これまで売り手の“言い値”をほぼ丸呑みしてきた。

 そうした“買い負け”にようやく政府も重い腰を上げた。6月27日に関係閣僚会合を開いて、新たな資源確保の戦略をまとめたのだ。これによれば、韓国とのLNGの共同調達や価格交渉での連携を検討する、としている。また、9月に日本が開く中東など天然ガス産出国を集めた国際会議の場で、LNGの価格決定の仕組みの見直しを共同で提案する、という。

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