ヒットメーカーの舞台裏

2012年8月13日

»著者プロフィール
著者
閉じる

池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 おにぎりの素やふりかけでは珍しく「だし」を主役に仕立てた。ご飯に混ぜるほか、お茶漬けにもできる用途の広さもあり、中高年者を中心に支持を得ている。今年1月の発売から5カ月で出荷は700万袋に達し、ミツカンのふりかけ分野では2011年のヒット商品である「ごまリッチ」を1割上回るペースとなっている。

 かつおだし、昆布だし、あさりだしの3種類があり、希望小売価格は136円。1袋で、約2.5合分のご飯に使える。だしは顆粒状にしており、温かいご飯に混ぜ込むとすぐさまなじむ。具材は、かつおだと「青菜とごま」、あさりだと「わかめとごま」といった具合に各2種類にとどめ、あくまで、だしをフィーチャーしている。

 それぞれのだしのうま味を上品にまとめているという印象だ。あさりだしタイプと白髪ねぎをご飯にかけてお湯を注ぐと、東京の深川丼を髣髴させるような、コクのある茶漬けになった。顆粒だしは水にも溶けやすく、これからの盛夏には、冷やし茶漬けも人気が出そうだ。

 商品企画を担当したのは、製品企画部製品企画2課の和田悠(30歳)。技術者として入社し、1年間、主力製品であるぽん酢の開発に従事した後、07年から企画部門に配属されている。

 ミツカンのふりかけでは代表ブランドとなっている「おむすび山」の新製品として「赤飯風味」(08年)を企画したほか、前述の「ごまリッチ」も和田の手による。

 若手ならではの柔軟な発想で、隠れていた消費者ニーズを掘り起こしている。ごまリッチでは、従来のふりかけでは脇役だった「ごま」にスポットを当てた。「嫌いな人はほとんどいないし、健康食品としてのイメージが定まっている」(和田)ところに着目した。

 今回の「だし」も、全国でローカル限定品を含むとざっと1200種類にも及ぶおにぎりの素やふりかけ製品では、恐らく前例のない訴求点だという。和田はここ数年で、だしベースのお茶漬けの専門店が増えていることや、料理関連のサイトでだしを前面に出した調理法が多く紹介されていることなどに注目し、今回の商品企画につなげた。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る