2024年5月2日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年8月6日

 ある中国ネット大手が8月に一カ月間、記者を日本に派遣するなどして「日本特集」を組もうとしたが、宣伝当局は7月末になって突然、中止を指示した。「(終戦記念日のある)8月は敏感」が理由とされた。尖閣諸島の東京都買い取りや国有化などをめぐり日中間の緊張が高まっているが、ある中国政府筋はこう解説する。

 「政府内で日本に対してもっと強硬策を取るか、それとも現実的に対応するか、意見が分かれている」。強硬策を取れば、日中間の衝突を招き、指導部交代を迎える中、安心して国内問題に取り組めない。逆に現実的に対応すれば、日本政府が国有化などに出た際、民は憤り、党・政府への対日弱腰に批判が集中する、というジレンマに陥っているのだ。

権力闘争の駆け引きにも

 冒頭で触れたように、北戴河会議では指導部人事も話し合われるが、暴動やデモなどにどう対応するかという「維穏」問題が権力闘争の駆け引きにも使われ、どの指導者もこの時期に積極的に関わりたくないのが本音だという。それが北京の豪雨の対応にも表れている。ある中国筋は明かした。

 「特に什邡のデモや、(政府発表の死者数への不信感がネットで高まった)天津のビル火災では、なぜか微博で敏感な情報が削除されなかった。わざと放置した可能性がある。党大会で政治局常務委員や政治局員に昇格しそうな地方指導者を追い落とすための策略だったのではないかとささやかれている」


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