2024年5月18日(土)

使えない上司・使えない部下

2020年11月29日

強み、弱さを考え、能力が発揮できるところへ行く

篠原さくらさん

 その後、現在の会社へ移り、執行役員として人事・広報の責任者をしています。チームビルディングをするうえで、リーダーである私がチームの個々のメンバーに対して心の底からの尊敬の思いを持っていないと、心を合わせることは無理だなとあらためて思っています。

 メンバーの今後の成長を思えば、指摘しておいた方がいいと思えば言うようにはしています。実は遠慮してしまう時があり、このあたりは私の課題です。職位が上や同世代の人には言えるのですが…(苦笑)、年齢が下の人にこそ気を使ってしまいます。

 メンバーに怖がられている? いえ、そうではないと思いますよ。ダメなんです。実は、あまり強くは言えない…。どういう具合に言えば伝わるのかなと考えたりして結局、すごく優しく言ってしまい、誤解されることがあります。自分のことだから正確にはわかりませんが、性格が随分と丸くなったんでしょうね(笑)。今は、私なりにいろいろな人の気持ちを考えすぎてしまうのです。だけど、現場の声にはいつもしっかり耳を傾けることは大事にしていきたいと思います。

 社会人になってから現在に至るまで育ってきた環境が大変に恵まれていました。例えば、新卒で入ったサイバーエージェントで「使える、使えない」という言葉が普通に使われていたら、今も平気で使っていたはずです。これまでに接してきた人によってマネジメントやチームビルディングの考えは形成される部分が大きいと思います。特に新卒で入る会社や、仕事で触れ合う人はその後の自分に大きく影響があります。

 私はこういう言葉は使いませんが、今回の取材のテーマに合わせて言えば、「使えない」人材はいないと思います。一方で、例えばベンチャー企業でも銀行でも、コンサルティングファームでもすべてにおいて「使える」人材もいないのではないかな、と考えています。だからこそ、大切なのはwhere to compete。自分がどこで競うのか…競うことができているか…。これらを常に自問自答したほうがいい、と思います。そのために強み、弱さは何かとしっかり考え、能力が発揮できるところへ行く。「上司に恵まれていない」と他責をしているよりは、そのような行動を取るほうがいい人にめぐり会える機会が増えると思います。

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