中国はいま某国で

2012年9月7日

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谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

 米国の航空機ならびに関連機器メーカーが1つ、また1つと、中国の手中に入りつつある。セスナ、ホーカー・ビーチクラフトといった会社だ。

米国メディアの反応は鈍い

 単発プロペラ機の代名詞だったセスナ、小型双発プロペラ機で有名なホーカー・ビーチクラフトはどちらもカンザス州ウィチタの発祥で、今なお同市に本社をもつ。米国のど真ん中、ヘソに当たり、極めて保守的な土地柄だ。

そんなところに中国が手を伸ばし、懐旧の情をそそる名の会社を手に入れつつあるというのに、米国メディアの反応は鈍い。リーマン危機以後企業需要が冷えたため、両社とも経営が苦しい。ホーカー・ビーチクラフトは破産寸前だ。雇用が守れるならと、中国資本が入るのを地元は容認している。

 しかし隣接軍需分野の技術が流れることは、恐らく止められない。実は買い手として現れた中国企業の実態すら見えにくい場合がある。いかにも警戒心に欠ける。技術を取られ、やがてポイ捨てされるとは恐れないのか。

 軍用技術の提供として露骨だったのは、ユナイテッド・テクノロジーズの一件だ。米司法省の発表(6月28日)によると、コネチカット州に本社をもつ有名軍需企業の同社とその子会社2社は、中国が攻撃ヘリコプターを作るのに不可欠の制御ソフトウエアを承知の上で中国に売り渡したとして、7500万ドル超の罰金を科された。軍需関連技術の対中輸出を禁じる法に違反したからだ。処罰逃れのため偽りの報告をするなど、手口は悪質だった。

 中でも「主犯」格は、有力子会社プラット・アンド・ホイットニー・カナダ(P&WC)。世界有数の航空機エンジン・メーカーだ。今度の一件で、P&WCが民生用として中国に売ったヘリコプター用エンジンが「Z10」という問題の攻撃用ヘリに使われていた事実も明るみに出た。

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