世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月24日

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 Michaela Bendikova米ヘリテージ財団研究員は、8月8日付同財団のサイトに、6月27日ロスアラモス研究所で行った「米の核3本柱、緊縮財政、核ゼロのビジョン」と題する講演を掲載し、米核戦力の近代化が必要である、と論じています。

 すなわち、何十年も、米国の核抑止力は、米国及びその同盟諸国の安全を保障してきたのに、米政府の財政政策と軍縮政策は、米の核兵器がない世界へ我々を導いている。

 将来の不確実な戦略環境を考慮して、米の核兵器複合体を再活性化しなければならない。2030年、我々のICBMは60歳以上、SLBMは40歳、戦略爆撃機は35-70歳になる。核の3本柱は老朽化しているが、確実な近代化計画はない。

 更に、米国は、1992年以来、核兵器の爆発実験をしていない。数年すれば、米の核兵器専門家は核実験の経験を持たないことになり、新兵器設計に関与した者もほぼいなくなる。

 ゲイツ元国防長官が言ったように、実験をするか近代化をするかのいずれかによらない限り、信頼性のある抑止力を維持し、核兵器の在庫を減らすことは不可能である。

 予算統制法は今後9年で防衛予算を4830億ドル減らし、法改正がなければ、0.5兆ドルが更に減らされる。新しい戦略爆撃機は止めになり、次世代潜水艦は遅れて10隻に減らされ、ICBMは廃止されかねない。

 核兵器複合体の近代化は、オバマ大統領の2013年予算要求で遅らされている。大統領は、新START批准の際の約束を守っていない。

 米国が今行う決定により、今後何年もの戦略態勢と近代化計画が決まる。大統領の核態勢見直しでは、核拡散と核テロの防止と米の安全保障における核兵器の役割減少が重要とされ、核戦争抑止は3番目の優先事項にすぎない。

 米の核兵器は米と同盟諸国への攻撃を抑止する重要な安全保障機能を果たす。核兵器がどれくらい必要かについて、オバマ政権は少ない方がよいと考えているようだが、最小限の兵力に頼るのは危険である。米の核兵器及び戦略運搬手段の維持、近代化は相当な投資を必要とし、我々はこの投資を支持すべきである、と述べています。

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 このベンディコワの論説は米の核戦力が抑止力としてもつ機能を強調し、それを健全な状況で維持する必要性を改めて訴えたものです。

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