世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月8日

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 Diplomat誌のウェブサイトに8月30日付で掲載された論文で、中国の海軍力増強の重点は、「近海」または「三海」と中国の呼ぶ黄海、東シナ海、南シナ海とそれに隣接する海域であり、中国は、ここで、グローバルな基準が適用されない中国独自の「例外主義」の基準を創り出そうとしている、とエリクソン(米海軍大学准教授)とコリンズ(China Sign Post共同設立者)が述べています。

 すなわち、中国の海軍力を過大に評価するものは、中国がかつてのソ連のように、外洋海軍(Blue Water Navy)を増強し、地球的規模で米国を脅かそうとしている、と言う。他方、中国の努力を過小評価して、これから何十年にもわたって、中国海軍は米国の脅威になることはない、と断言する者もいる。しかし、いずれも的外れの議論だ。

 中国の海軍力は、二つの分野に分けて見る必要がある。第一の分野は、中国に地理的に近いか、あるいは、それに隣接した地域であり、ここでは、これからも高度な能力の増強が行われるだろう。この「近海」ないしそれに隣接する海域においては、将来、米中が海洋をめぐって衝突する可能性がある

 第二の分野は、基本的に平時において、比較的低度の海軍力が求められる分野であり、政治的影響力、経済的利益の擁護、アフリカ等での中国市民の保護、ソマリア沖の海賊対処などが目的となる。その中では、中国にとっての石油・資源の輸送路にあたるペルシャ湾、インド洋、東南アジアのマラッカ海峡などの確保が重要な位置を占める。

 米国海軍力を確立した「スーパー・パワー」と呼ぶことが出来るならば、中国海軍は「グレート・パワー」と呼ぶことが出来よう。中国は、今のところ、かつてのソ連のように地球規模での外洋海軍をつくろうとの気配はない。現在のような中国海軍の状況は、中国人によれば、「地域防御進攻性」と呼ばれるものだ。

 中国にとって、「近海」とそれに隣接した西太平洋では、日本、ベトナム、フィリピン、それに米国などが影響力を競い合う相手となる。国際社会において問題となるのは、中国が「近海」においては、グローバルなルールは適用されないとの姿勢をとり、自らがルールを決めるという「例外主義」を取ることが多いという点だ。

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