世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月11日

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 米プリンストン大教授で、共和党大統領候補ロムニーの外交政策顧問も務める、アーロン・フリードバーグが、フォーリン・アフェアーズ誌9、10月号に、やがては、米欧は停滞から脱し、中国の方が困難に直面するかもしれないが、それに至るまでの間が危機であり、米国は、中国周辺地域諸国の懸念にこたえて、軍事、経済両面でしっかりした姿勢を示さねばならない、という趣旨の長文の論文を寄稿しています。ここでは、その結論部分を中心にご紹介することにします。

 すなわち、米国は、中国に対しては、冷戦中の対ソ連のような一貫した戦略は無く、関与とバランスの両面の政策をとって来た。ところが、関与政策は一向に中国の穏健化を達成していないし、他方、バランスをとる政策は、米国の財政危機のために、危うくなっている。

 中国の指導者が現在欲しているのは、地域覇権だが、ユーラシア大陸の東西両端に覇権国家が生まれることを許さないのはアメリカの伝統的政策であり、これを許容するわけにはいかない。

 中国が政治的に変化しても、それで米国との間の緊張が緩和するわけではない。変革の時期には、内外の摩擦が起きるものだ。ただ、長期的には、自らの正統性に自信のある国になれば、外部に挑発的でなくなり、また、台湾問題を含めて、周辺諸国との間に合意が成立しやすくなる。

 オバマ政権はアジアに軸足を移すと言っているが、今までのところその実質的内容に乏しい。むしろ、アメリカの対応が弱いので、中国の方が自信をもって対決姿勢に出て来る惧れもある。

 中国側の軍事力に十分に対応しないと、アジアの同盟国防衛のクレディビリティを損なう。アジアでは、リビアのケースとは異なり、アメリカが背後から援助するという姿勢はとれない。

 他方中国も、たとえ、台湾や南シナ海で電撃作戦に成功しても、海上封鎖されると、輸出も、エネルギーの輸入もできなくなってしまう。したがって米国は、日本、インド、ASEAN諸国などと連携して中国を封じ込める作戦を取れる。

 こういう戦略に対する批判は、予言の自己実現、すなわち、結果として中国を硬化させて対決に導きかねない、というものだ。しかし、現実的には、その反対もあり得る。宥和的政策が相手国のタカ派を勇気づけることもある。

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