世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月8日

 9月24日付米Heritage財団のウェブで、Bruce Klingnerヘリテージ財団上席研究員は、日韓の軍事面・政治面での協力強化は、日韓両国だけでなく米国にとっても重要であるので、米国としては、日米韓3か国間協力の機会を多く設け、また、強力な軍事力の前方展開を継続することにより、日韓の協力強化を働きかけるべきである、と論じています。

 すなわち、オバマ政権のアジア重視戦略は言葉だけで実行を伴っていない。国防費を削減しても、アジアにおける米国の防衛力は低下しないなどと言っているようでは駄目である。

 多国間協力の推進により同盟国の軍事能力を強化することが出来る筈である。しかしながら、高い軍事能力を持つ日韓両国の間には、日本の植民地支配に由来する歴史的な反感や領土紛争の為、協力関係は殆ど存在しない。日米韓の三角協力関係の一片が欠けているのである。

 近年、中国の台頭と北朝鮮の脅威の増大に伴い、日韓両国間で、軍事演習へのオブザーバーの相互受け入れや米国との二国間演習への参加を認めるなどの形で協力の芽が出てきていたが、本年6月に韓国が軍事情報包括保護協定(GSOMIA)への署名を直前になって拒否したことや8月に李明博大統領が竹島を訪問したことは、両国間の軍事協力強化への制約の高さを示すものと言える。

 それでも、米国は、日韓両国間の軍事協力強化を求め続けるべきである。但し、領土紛争や歴史問題で一方の肩を持つように見られることは避けるべきである。

 米国が日韓両国との強力な同盟関係を維持することが特に有益である。日韓両国が相手国に抱く軍事的脅威感を鎮めることが出来るからである。

 その為にも、米国は西太平洋に強力な軍事力の前方展開を維持し、アジアにおける潜在的脅威に対する確実な抑止力となる軍事力を投入すべきである、と論じています。

 日韓GSOMIAに関しては、李明博大統領は任期中に承認が得られるよう努力すると述べていたが、日韓関係の悪化から見て来年2月の任期までに実現することは難しい。北朝鮮の脅威によりGSOMIA締結の議論が進んでいたのに、韓国政府の不手際や国内政治上の思惑で与野党が共に反対した為、実現しなかった。韓国のメディアがもっぱら国内政治の問題としてしか報じなかった責任も大きい。GSOMIAはミサイル防衛にも対潜水艦作戦にも不可欠である。物品役務相互提供協定(ACSA)が保留になったのも残念である、と述べています。

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