WEDGE REPORT

2012年11月21日

いま、世界で日本食ブームが起きている。フランス料理と並ぶ高級料理としても扱われているという。このブームに乗ろうと政府や日本の中小企業が世界を目指しはじめている。だが、待ち構えるハードルは高い。アジアへの食品輸出の窓口となるシンガポール。確かに日本食は人気だが、一皮向けば外国産の日本食材に圧倒されている。海外進出を成功させるには、何が必要となるのか。

シンガポール現地ルポ
COOLなのにおしい!日本食

奥にあるホテルがシンガポールの名所であるマリーナ・ベイ・サンズホテル

 経済成長に沸くシンガポールには今、空前の日本食ブームが訪れている。オーチャード通り(日本の銀座に相当)を平日昼間に歩いてみると、まず若者の多さに驚く。歩くスピードも速く、おしゃべりの声で溢れている。中華系、マレー系、インド系などの人々が入り乱れ、英語や中国語が次々と飛び交う。高齢者が目立つ日本の銀座とは対照的だ。

 しばらくすると、「やきとり」と日本語表記された赤ちょうちんを吊した店や、日本のラーメンチェーン店「一風堂」を見かけた。午後3時にもかかわらず、店内は多くの客で賑わっている。

 髙島屋内にある高級スーパーも覗いてみた。日本のスーパーと錯覚するほど、日本の野菜、果物、調味料、菓子類がずらりと並ぶ。豪州産のカボチャが4.9シンガポールドル(約318円)に対して、北海道産は8.9シンガポールドル(約578円)と強気の価格設定。かつては、「日本駐在員の奥さんしか買わない」(商社関係者)と言われていた日本食材は、現地の富裕層も気軽に購入する商品となっている。

街中のやきとり店に行列

 シンガポール国民1人当たりの年間可処分所得は、2011年には3万2600シンガポールドル(約212万円)を突破する勢いで、5年で2割も増加した。日本にもかつてグルメブームがあったが、ここシンガポールでも経済成長と旺盛な消費意欲が、日本食に向かっているといえるだろう。

 各地の大型ショッピングモールには日本食専門店街が次々とできている。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本食の飲食店は500~600軒あるという。これは全飲食店の約1割だ。

 このブームを逃す手はないと、自治体や企業は売り込みに躍起だ。その象徴的イベントが、11月1~3日に開催された「Oishii Japan 2012」という日本食見本市である。

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