世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月7日

 米HIS Jane’s Defense Weekly編集者のジェイムズ・ハーディ(James Hardy)が、10月16日付The Diplomat誌ウェブサイトに「バック・トゥ・ザ・フューチャー:米海軍、フィリピンに復帰 (Back to the Future: The U.S. Navy Returns to the Philippines)」と題する記事を寄稿し、米海軍のスービック復帰の持つ意義について論じています。

 すなわち、米フィリピン両政府は、1992年まで米第7艦隊の母港であったスービック湾に、半永久的に米国の艦船・海兵隊・航空機を再配備することを確認した。スービックには、相当規模の米国の兵器や軍設備が置かれ、今後、米太平洋艦隊の展開について、より大きな役割を果たしていくことになる。

 フィリピンのアキノ大統領は、自前の「有能だが最小限の防衛能力による抑止力」を築こうとしており、スービック湾での米軍の半永久的プレゼンスは、それをある程度援護する役割を果たしてくれる。フィリピンとしては、世界第一の米海軍のプレゼンスは、例えば、南シナ海で中国との領有権争いがエスカレートするといった事態に備えるために歓迎できる。

 一方、米国にとっても、フィリピンに新たな半永久的停泊港が得られることは、歓迎すべき選択肢だ。既に第7艦隊が日本を母港とし、4隻の沿岸戦闘艦がシンガポールに常駐し、豪州北部沿岸部にもプレゼンスが築かれつつあり、さらに、沖縄からグアムに部隊や艦船が再配備されつつあるが、フィリピンは、この地域における米軍の分散型配備体制に、新たな側面を加えてくれる。

 スービック湾の地理的位置は非常に大きな戦略的価値を持っている。スービック湾へのアクセスの拡大は、米国が標榜する自由貿易と航行の自由を維持するための強力な拠点を与えるだろう。

 東南アジアでは、米比関係が改善されていることに、誰も驚かないだろう。James Holmes少将は先月、中国はそのあまり巧妙とは言えない外交によって、「アジア諸国の間で築いてきた友好感情をいたずらに浪費してしまった」と指摘したが、そのHolmesの言葉を借りれば、スービック湾へのアクセス拡大は、「第一に頼るべきバランサー」としての米国の役割を強化してくれよう、と述べています。

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 ハーディは、最近の米比同盟関係の改善傾向、特に、両国間の軍事協力の進展に焦点を当てつつ、スービックでの米軍の半恒常的プレゼンスがフィリピンの戦略的重要性を再確認させ、対中抑止力の向上にも繋がると、好意的に書いており、それ自体は、全く理にかなった議論です。

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