英国はアジアにまだ軍事的関与を保つ。国連軍と「5カ国防衛協定」だ。
この両方に、日本も参加してはどうかと促す、かつてない画期的提言。
駐日英国大使館の元武官が、憂色増す日本の不安に解答を示す。
対米同盟に加え、英国との連携を深めること。それが答えだ。
両国防衛産業の協力深化で、日英関係はさらなる高みを目指す。
2012年4月、英国のデビッド・キャメロン首相は野田佳彦首相と会談するために東京を訪問した。首相レベルの2国間会議としては安倍晋三氏が07年1月に訪英した時以来、英国首相による訪日としては03年7月のトニー・ブレア氏以来だった。
相互訪問はこのように、概して少ない。けれども野田・キャメロンの共同声明は、様々な国際問題に対して共通の価値観と立場を抱く日英両国の友好関係をはっきり示していた。
英国と日本は再び、互恵的な関係に力を入れ始めている。実際、国際舞台で両国が似たような行動を取るのが近年の傾向であり――例えば国連総会での投票では、日英両国が米国以上にお互いと同じ投票行動を取るケースが多いことはよく指摘される――、先の共同声明はこうした共通の利益と価値観に立脚していた。
防衛協力を特筆
日英共同声明
07年と比べた場合、12年の共同声明は内容が充実していた。国際的安全保障、気候変動、国際開発、科学の分野で協力することを誓った07年の大きな枠組みの中から、新たな声明は「世界の経済的・社会的繁栄の構築」および「世界の平和と安全保障の促進」と題した一般項目の下で共通課題を特定していた。
12年共同声明の後段部分で特に目を引くのは、安全保障と防衛における協力関係に関して具体的な言及をした部分だ。現存する国際平和維持活動への協力関係に加えて、今回は防衛産業間における協力関係の潜在性に踏み込んだ。
両国政府はすぐに共同声明の誓約を実行に移し、12年6月4日には日英双方の防衛担当大臣が防衛協力に関する覚書に署名。両大臣は防衛装備品の開発に関する協力と政府間での機密情報の保護を可能にする合意を策定することを約束した。
英国と日本は過去にも安保で協力したことがある(1902~23年の日英同盟。それに先立つこと30年間の海軍協力)。しかし戦後占領が終わった52年以降、日本は当然ながら、憲法で誓った平和的な経済発展に全面的な重点を置き、公式の安保協定を米国との安全保障条約に限定した。