2024年12月22日(日)

故郷のメディアはいま

2012年12月20日

 作家の小林多喜二、歌手の東海林太郎や桜田淳子、シンガーソングライターの因幡晃、現役時代は三冠王を獲得した前中日ドラゴンズ監督の落合博満、キャスターの小倉智昭、俳優の柳場敏郎……と秋田県出身の有名人は数多くいるが、「意外と」と言っては本人に失礼だが、県民の人気が高いのが読売新聞特別編集委員の橋本五郎だ。

『ズームイン!!SUPER』、『ウェークアップ!ぷらす』
などで活躍

 なぜそんなに県内の老若男女に支持されているのか―。

 2011年3月まで日本テレビ系『ズームイン!!SUPER』に月曜日・火曜日コメンテーターとして出演し、今も読売テレビ制作の『ウェークアップ!ぷらす』(土曜日朝8時~放送)などの報道番組にゲスト出演している。21世紀臨調運営委員や東日本大震災復興構想会議委員などを務める。地元のノースアジア大学客員教授でもある。著書に『議員秘書の真実』『範は歴史にあり』『総理の器量政治記者が見たリーダー秘話』など。

 理由を詳述する前に、橋本のプロフィールを簡潔に紹介しておこう。

 1946年秋田県琴丘町(現・三種町)生まれの橋本は、県立秋田高校を卒業後慶應義塾大学法学部に進学。同政治学科卒業後読売新聞に入社した。地方部浜松支局、東京本社社会部を経て76年政治部に異動になった。以降、記者として自民党や首相官邸など政治の中枢を担当、政治部次長、論説委員、政治部長などを歴任し、いつしか“ナベツネ”こと渡邊恒雄・読売新聞グループ代表取締役会長の腹心とも懐刀とも言われるようになった。

「橋本五郎文庫」と「五郎が斬る!」
 

 その橋本が、なぜ秋田県民の人気を集めているのか。最も大きいのは、地元への貢献度が高いからだろう。

 県民への浸透度を測る材料が2つある。

 まず、廃校になった橋本の母校の小学校体育館に開設した「橋本五郎文庫」がある。橋本は講演で「日本政治の最大の問題は、地方の過疎化に何の手立ても打てないことだ」とよく強調するが、橋本が生まれ育った地元も例外ではない。人口は年々減り続け、いつしか村の人口は500人ほどになった。学校の校長を務めた夫を亡くした後も村でのひとり暮らしを望んだ母が逝った村にはこれといった産業はおろか、ボランティア活動できる場もない。


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