故郷のメディアはいま

2012年8月29日

»著者プロフィール
閉じる

小田桐 誠 (おだぎり・まこと)

ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

 異例ともいえる20数%もの自社制作率を誇り、一歩先行く事業活動で注目されるローカルテレビ局がある。

 テレビ朝日系の北海道テレビ放送(HTB)だ。

 同局のホームランといえば、1996年から断続的に続いているロードムービー的なお笑いバラエティ番組『水曜どうでしょう』(以下、『どうでしょう』と略す)だろう。『どうでしょう』をきっかけに大ブレークしたタレントが大泉洋である。昨今はNHK大河ドラマや民放の連続ドラマに出演するなど、役者としての地歩も固めた。

 『どうでしょう』は、大泉と鈴井貴之がどこに連れて行かれるのか、そこで何が待ち受けているのか、一切分からぬまま日本全国を右往左往。その過程の中で二人だけではなく、藤村忠寿と嬉野雅道のディレクター陣を含めて交わされる会話・やりとりが味わい深く、時に顔を出す人間の本性=本音が面白哀しい異色のバラエティ番組である。国内だけでは飽き足らず、ベトナム縦断やオーストラリア横断にもチャレンジした。

 番組スタートから間もなくテレビ朝日系列の編成・制作部門の管理職が集まる会議で話題になり、各地のローカル局が番組を購入・放送し始め、やがて系列を越えて全国に広がった。

 そして今では、道産コンテンツとして最大級の広がりと影響力を持つに至っている。たとえば、DVDシリーズは累計200万本を超え、写真集や多彩なグッズ類は売れに売れ、出演者や制作スタッフが参加するイベントには押すな押すなとばかりに全国からファンが駆けつける。

 ネットによる有料ストリーミング放送も大人気で、2011年春の新シリーズでは、放送終了直後から「アクトビラ」「ひかりTV」などで一斉に見逃し視聴サービスを実施した。料金は放送一回分315円で、1週間視聴できる仕組みにした。新シリーズ初回ではアクセスが殺到、前述2つのサーバーがダウンしてしまったという。

多様なジャンルを網羅した番組編成表

 放送局の経営方針を端的に表すものとして、番組編成表(タイムテーブル)がある。HTBの番組編成表は、あたかも東京キー局か大阪の準キー局であり、とてもローカル局には見えない。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る