世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年1月16日

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 ケイトー研究所のバンドウ(Bandow)が、12月6日付The National Interest誌ウェブサイトで、北朝鮮のミサイル発射予告は大した問題ではなく、北の駄々(temper tantrums)として無視すべきであるが、これを機会に、オバマ政権は北朝鮮問題について中国との対話を開始すべきであり、中国を通じて北の変革を図るのが良い、と論じています。

 すなわち、北朝鮮のミサイル発射予告に対し、米韓両国は重大な挑発行為であるとして、強い懸念を表明したが、関係国と協議するという以上の対応はとれていない。北朝鮮は、主要な敵国を動揺させ、世界の関心を引くことも出来たので、満足であろう。

 本来、北のミサイル発射は目新しいことではなく、それで世界が変わる訳でもない。米韓両国は非難などせずに欠伸をするだけで良かったはずである。4月に続き発射が失敗すれば北は恥をかくだけである。

 米国は、北との関係改善には関心はあるが、北の軍事的挑発に見返りを与えることは無い、と言うだけで良かった。そもそも、東アジアでは、中国の新指導部成立、南シナ海の領有権問題、ミャンマーの政治改革など、遥かに重要な課題が出てきており、北朝鮮にかまっている暇などは無いとも言うべきであった。

 オバマ政権にとって、今回の発射予告は、北朝鮮問題につき中国と対話を始める良い機会である。中国では新指導部が誕生し政策変更があり得る。金正恩は、中国の新政治局員と会談した一日後にミサイル発射を予告し、成立間もない習近平指導部に大恥をかかせてもいる。

 米国は、中国側に対し、北朝鮮が今回の発射予告のような挑発を続ける限り、半島の不安定が続くことを指摘すべきである。このままでは、何れ、韓国船撃沈事件や島嶼砲撃事件のような紛争が拡大して、戦争に繋がる可能性も出て来るが、その場合、最も損害を受けるのは中国である。

  また、北朝鮮がスターリン式経済を持つ閉鎖的・王朝的共産主義国家に留まる限り、何時崩壊しても不思議はなく、その場合には、中国の怖れる難民流出、内戦、韓国や米国による軍事介入の可能性がある。

 中国が北朝鮮に対し抜本的改革を求めるのであれば、米国には協力の用意があり、(韓日と共に)難民支援に協力し、統一朝鮮に米軍を置かず、地域安定の為の中国の貢献を評価すると伝えるべきである。

 他方、中国が同盟国の北朝鮮に圧力を掛けないのであれば、米国も韓国のミサイルの射程や弾頭重量を制限することは止めるべきであり、また、日韓両国の核保有も認めるべきである。東アジアで潜在敵国や悪玉国家だけが核を保有するようなことは米国の利益に反するからである。北の核保有が進めば、米国内でその様な議論が高まる。それが嫌なのであれば、中国は早く行動に出るべきである。

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