世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年1月31日

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 CSISのアジア朝鮮半島問題シニアアドヴァイザーなどを務める、朝鮮半島問題の専門家ヴィクター・チャ(Victor Cha)が、フォーリン・アフェアーズ誌のウェブサイトに12月19日付で発表した論文で、金正恩の就任以来一年経ったが、ミサイル発射などの瀬戸際外交を行っても、今や米国も韓国も宥和策で応えようとしなくなり、国内で統制力を強化したいのであろうが、国民生活は統制の効かない方向に向かい、政権は行き詰まりに向かっている、と述べています。

 すなわち、金正日からの権力継承から一年経った。金正恩は、ミニスカートを許し、ディズニー(海賊版)も解禁した。自分が参加したニューヨークの会議出席の北朝鮮代表はコカコーラやケンタッキー・フライド・チキンを北朝鮮に招致しようとしていた。しかし、金日成の死後に際しても、セリグ・ハリソンなどは北朝鮮の開放を期待したが裏切られた。

 過去の米朝関係の歴史では、北朝鮮が挑発的行為をしたあと、平均して五ヶ月後に米国は北朝鮮との交渉を再開している。しかし、米国も韓国ももう交渉に関心を持っていない。韓国は、次の挑発に対しては、トップの判断を待たず、現地の判断で対応する態勢である。

 中国も、中朝高級会談の直後にミサイルを発射されているので、北朝鮮にコントロールが効かないことを知っている。中朝の接触があるごとに、北朝鮮が改革開放政策を取ることが期待された、それはその都度裏切られている。今や中国は、対朝経済政策では、中国の得になることだけをしている。

 金正日の葬儀に参列した軍のトップは全て粛清された。これを保守的な軍を粛清する改革志向と取る向きもあるが、単なる、競争者の粛清か、あるいは、軍の利権を自分のために取り上げるためであったかもしれない。それが本当ならば、軍の中に恨みを持つ者もいるということになる。

 金正恩は、新主体主義、neojucheism(チャの造語)による中央の権力強化を目指しているのかもしれない。しかし、国民は反対の方向に動いている。脱北者によれば、食糧の50%は配給外だという。百万以上の北朝鮮人が携帯電話を持っている。政府はKoryolinkの25%の株をもっているので、携帯の使用はある程度まで認めているようである。

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