世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月20日

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 ヘリテージ財団の上級調査研究員であるデレク・シザーズ(Derek Scissors)が、1月18日付の同財団ウェブサイト掲載の論説で、中国共産党は、嫌う情報は隠しており、失業率、国の債務など、中国にとって都合の悪い経済指標は信頼できないので、米国は中国の主要経済指標につき、独自の算出をし、それに基づいて、中国経済に対処すべきである、と述べています。

すなわち、中国の国家統計局は、政治的考慮とGDP統計自体の欠陥のため、貴重な情報の多くを提供していない。中国経済は、胡錦涛政権下で構造的に弱体化したが、中国の統計はこの弱体化を反映していない。

中国共産党は、嫌う情報は隠しており、四半期経済報告が例外といえるだろうか。

 中国政府は、失業数は機微に過ぎるので正直に報告することはまずない。都市部の失業だけが計算され、農村部は含まれない。農村部を含めれば、4〜4.5%という失業率は5倍になるかもしれない。

 GDPの構成要素も問題である。中国は投資として固定資産投資を、消費として小売り額を、4半期終了後わずか2週間で発表しているが、これらの数字は実際には役に立たない。

 住宅価格、不良債権、石炭の生産高は、結果が悪いときは公表されない。

 胡錦涛政権の誕生以来、市場改革は弱まり、固定投資が急上昇し、固定投資と固定資本形成とのギャップが広がった。これは無駄が増えたことを意味する。固定投資の伸びは消費の伸びを上回り、供給が一層需要を上回る。例えば、2012年に国内の造船所の3分の1以上は発注がなかった。自動車の生産設備は増え続けたのに、2012年の自動車販売は減少した。需要が不十分だと高レベルの投資は債務を生み、債務が増えると経済成長は持続不能となるが、中国ではしばしば債務は文字通り国家機密として扱われ、中国経済の見通しは立てがたい。

 中国はこれまでのように輸出に頼れないとすれば、唯一の解決策は国内の改革である。中国は土地と労働力、資本をより有効に使わなければならない。知的財産と土地についての所有権をはっきりさせれば、土地と労働力がより有効に使えるようになる。より競争を導入すれば、労働力と資本の有効利用ができるようになる。政治的制約からこれらの改善がされないと、経済は停滞し、中国の経済統計は一層現実から遊離する。

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