ヒットメーカーの舞台裏

2013年3月20日

»著者プロフィール
著者
閉じる

池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 凍ったままの餃子をフライパンに並べる。フタをしての蒸し焼きが約5分、フタを取って1~2分で好みの焼き目をつければできあがり。油と水は使わず、パリパリとした羽根も付いている。でき具合を左右する水を使わないようにし、手間を省くとともに安定した焼き上げをサポートする。

餃子の底部にある「羽根の素」は特許出願中

 従来製品の大幅なリニューアル品として2012年8月に発売すると、10~12月期の出荷は前年同期を55%も上回る人気となった。実は、この味の素の「ギョーザ」は、冷凍食品では怪物的な存在。宅配品などを除く店頭小売りの家庭用冷凍食品では11年度まで9年連続で単品での売上高トップを続け、同年度の売上高は107億円と大台を突破した。単品トップとは米飯ものや麺類など全ての冷凍食品のなかで、ということであり、日本人の餃子好きをも象徴する商品となっている。

 調理法としては1997年に油なしで焼けるようにしていたが、それ以来の革新となった。今回はジューシーさをより強めるため豚肉の配合比率を20%高めるなど、味の改良も行った。12個入りは変わらないものの、内容量は300グラムと約2割アップさせている。オープン価格だが、スーパーなどでの表示価格は380~390円が多い。

 水なし調理方式の開発は、発売から2年遡る10年に実施したユーザー調査がきっかけとなった。調理の際の水の量や焼き方によって、でき具合にぶれが出るのはこの商品の宿命みたいなものだったが、そこに改良の余地はないかと調理の実態を調べたのだ。

 協力を得たユーザーには普段使うフライパンを持参してもらった。味に関する消費者調査は頻繁に行ってきたが、キッチンで実際に「ギョーザ」を焼いてもらうのは初の試みだった。今回のリニューアルを担当した、味の素冷凍食品のマーケティング本部・商品開発グループに所属する川口篤(32歳)は、研究開発部門のスタッフとともに「何の仮説ももたずに、まず実態を見よう」と取り組んだ。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る