世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月28日

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 2月19付英Financial Times紙で、前米国務次官補のKurt Campbell米Asia GroupのCEOは、中国は、北朝鮮の核実験を深刻に受け止め、中国新指導部周辺では、北朝鮮の緩衝国としての役割に疑問を呈する者が出ている、と述べています。

 すなわち、北朝鮮の3回目の核実験は、主として中国に向けて取られた措置であり、中国で最も深刻に受け止められている。そもそも、中国と北朝鮮の関係は、仮想のイデオロギー的連帯と深い相互不信が複雑に絡み合う関係であった。朝鮮戦争での犠牲を共有し、中国が金王朝体制を長く支援してきたにも拘らず、両国間に愛情は無かった。

 中朝関係は、幾つかの時期を経ている。第1期は、朝鮮戦争とそれに続く時期である。中国は北朝鮮に味方して参戦したが、北朝鮮を救う為というよりは、「帝国主義」の軍隊が自らの国境に迫ることを阻止する為であった。休戦以来、北朝鮮は、米軍と中国を切り離す緩衝国としての役割を果たしてきた。

 ソ連共産主義の崩壊とともに、北朝鮮はイデオロギー的にも戦略的にも孤立し、中国は時代錯誤の隣国との対応に悩むこととなる。北朝鮮は、機嫌取りをする諸国から、脅し賺しを使って、必要な資金、食糧、エネルギー支援を巻き上げつつ、核・ミサイル開発の夢を推進する一挙両得の策に出る。6者協議は、朝鮮半島における米中協力が、短期間ではあるが、機能した時期であった。北朝鮮以外の全ての関係国が、この多国間外交に満足していた。

 近年、北朝鮮は挑発行為をエスカレートさせ、外交を事実上無意味にした。北朝鮮は、自らの弱さを利用して、中国から体制維持のための支援を得た。北朝鮮は、中国が恥をかいてもリスクがあっても、安定の維持を優先すると読み切っていた。

 しかし、今回の核実験により、中朝間のギャップが拡大し、中国のアプローチの欠陥が明らかになった。中国の北朝鮮に対する寛容も限界に来ている。昨年12月、中国は、米国とともに、北朝鮮のミサイル発射を非難する国連決議に同調したが、この控えめな行為に対し、北朝鮮は、驚き怒って、最早、中国の属国としては行動しないと中国に警告する為、核実験に踏み切ったのである。

 この為、中国の新指導部周辺では、北朝鮮という緩衝国が何の役に立つのかという疑問の声が出てきている、と論じています。

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 中国の強い反対にも拘わらず、北朝鮮が3回目の核実験に踏み切った以上、中国としても、対北朝鮮政策を見直す必要があるのは当然でしょう。

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