うつ病蔓延時代への処方箋

2013年3月27日

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 正常な状態と精神疾患もしくは身体疾患の境界域にある症状に対して診断、治療するのが心療内科と位置付けられる。その境界域にある精神疾患としてあげられる代表的な症状がうつ病だ。患者は若年化が進み、数も増える一方で、短い診察時間、薬漬け治療など、精神疾患に対する治療への批判が高まる。そのような中で、開業医として最前線に立つ心療内科医はどのような視点で診療にあたっているのだろうか。芝山内科の芝山幸久院長に、素朴な疑問を投げかけてみた。

芝山幸久(しばやま・ゆきひさ)
1984聖マリアンナ医科大学卒業、88年東邦大学大学院(心身医学)修了。90年東邦大学医学部助手、同大医学部講師を経て99年芝山内科副院長、2003年から現職。日本心身医学会認定医指導医、日本プライマリ・ケア学会認定医、日本医師会認定産業医。横浜市鶴見区で3代続く開業医。www.myclinic.ne.jp/shibayam

診断書を求め来院する患者が増える傾向に

―― うつ病について多くの関係者に話を伺ってきました。現時点でわかったことは、どうすれば完治できるのか断定できることは何もない、ということです。それは人それぞれの性格や環境が異なり、うつ症状になる経緯が違うからではないかと思います。もちろん、こういう私の見方も断定してはいけないのでしょう。だからこそ、さらに多くの人の話を聞いていきたいと考えています。心療内科について芝山先生は、どのように来院する患者さんと接しているのでしょうか。

芝山:患者さんは、多様な要因を経て辛くて支障をきたしているから来院してきます。医者として接するのはそこからです。初診段階で何が問題だったのか、どうして具合が悪くなったのか経緯を見極めるのは難しい。おっしゃるように人は、要因も対処法も人それぞれで異なりますから。まずは原因の究明よりは、今の辛さを取り除いてあげることに注力します。同時に、うつ、うつ病だとすぐに断定してしまうことは危険な面もあると考えています。

 しかし、患者さんの多くは診断書を希望されます。自分がうつ病であることを認定してほしいとさえ思えるケースもあります。要求されれば診断書を書くのは医者の義務ですので応えますが、ほとんどの場合は「うつ状態」とか大まかな表現にとどめます。話を聞き症状をみていれば具合の悪さは確認できますので。ただ、より詳しい診断基準にあてはめて病状を断定していくことは、ある程度の時間を要しなければならず、できるだけ避けるようにしています。

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