ロシアの兵力、世論の実態は?
プーチンは当初から徴兵兵士はウクライナに送っていないと主張し、その真実性については疑問も提起されているが、契約軍人をふくめ職業軍人が主として派遣されているということであろう。戦争を宣言し、総動員令を発出すればこの問題は解決されるが、これまでの経緯に鑑みそうはできず、せいぜい予備役招集にとどまっている。
武器の枯渇の問題も、イランからの無人機入手に見られるようにある。ウクライナ側がロシアの領土内攻撃を自制しているので、ロシアが戦闘で敗北することはないが、ロシア国内での戦争反対論は経済制裁に起因する困難もあり、徐々に強まっていくだろう。
例えば、ロシアの大富豪、エリツィンの娘婿のデリパスカが経済的困難が大きすぎると戦争に反対している。世論調査会社レバダセンターの調査結果では、プーチン支持が80%くらいで非常に高いが、この結果に重きはおかない。何故なら、ロシアのような政治体制では世論調査に本音で答えることは、ロシア人はあまりしないからである。
大祖国戦争で2600万人の犠牲を出しつつ、ナチスドイツに勝利したロシアの粘り強さは、防衛戦争ではなく、かつ兄弟殺しの面もあるウクライナ戦争においては発揮されないだろう。モア長官が言及しているアフガン戦争が先例としての価値が大きいと思われる。