NYTのフラー記者が、4月5日付同紙の解説記事で、ミャンマーのカチン族の反乱の背景には、カチン族がビルマ族と共通点が少なく、長年ビルマ族に迫害を受けてきたとの感を強く持っていることなどがある、と指摘しています。
すなわち、ミャンマー北部、中国、インドとの国境の山岳地帯に住むカチン族は最近これまでになく急進的で戦闘的になっている。2011年6月、17年間の休戦を破ってカチン族とミャンマー政府軍の戦闘が再開されると、カチン族の若者は大っぴらに独立を語り、多くがカチン独立軍への参加を志願している。2年前の非軍事政権発足時、テイン・セインは民族統一を最優先課題の1つとすると述べたが、最近の宗教的暴動、少数民族の指導者の多くの悲観的見方は、ミャンマー社会の分裂の深さを示している。
ミャンマーでは公立学校でカチン語を使うことが禁じられており、カチン族の怒りを買っているが、カチン地域では教会でカチン語を教えている。
他の多くの少数民族同様、カチン族とビルマ族は共通点が少ない。言語は異なり、カチン族の宗教はキリスト教である。ビルマ族は平地に、カチン族は山岳地帯に住んでいる。英国の植民地時代、ビルマ族地域は大英帝国に統合されたが、カチン地域での英国の統治は緩いものであった。カチン族のさる知識人によれば、カチン族は仏教国でのキリスト教徒として迫害を受けてきたとの感を強く持っている。この知識人は「我々は背景、文化が異なり、相容れない。カチン族は独立しなければ、飲み込まれてしまう」と言った。
カチン族の人口はミャンマーの5500万の人口中わずか100万に過ぎないが、4000人からなるカチン独立軍は、特にゲリラ戦術を得意とし、ミャンマー政府軍にとって大きな脅威である。カチンは隣の少数民族のワ(Wa)と同盟を結びうる。ワは2万人の軍と高度の兵器をもっており、カチンがワ、そして他の少数民族と組めば、ミャンマーを弱体化させかねない。